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【和歌山県立医大】薬学部新設へ体制固まる-地域で活躍する薬剤師育成

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2019年04月17日 AM11:30


■4部門18研究室を設置

2021年4月の新設を予定している和歌山県立医科大学薬学部(6年制、定員100人)の教育研究体制や方針が概ね固まった。医療系総合大学のメリットを生かし、医学部、保健看護学部と共同で多職種連携教育や研究を推進。高い実践能力を持ち、地域で活躍できる薬剤師や研究能力を兼ね備えた薬剤師の育成に取り組む考え。4部門18研究室を設ける予定で、各研究室を主宰する教授候補者が昨年度内に決まった。今後カリキュラム編成を本格的に進め、20年3月には文部科学省に設置許可を申請する計画だ。

太田氏

和歌山県立医大の薬学部長候補者である太田茂教授(前広島大学大学院医歯薬保健学研究院教授)は、新設薬学部の教育研究の方針について、「高い実践能力を持ち、地域で活躍できる薬剤師を育成するのが柱の一つ。研究力を備え、国際的に活躍できるファーマシスト・サイエンティストの育成にも取り組む」と語る。

基軸になるのが、医療系総合大学ならではの多職種連携教育だ。医師を育成する医学部(定員100人)、看護師や保健師を育成する保健看護学部(定員80人)と薬学部が連携。3学部の学生が混ざり合ってスモールグループディスカッションなどを行い、各職種の役割やチーム医療の必要性を学ぶ機会を充実させたい考え。患者に寄り添う気持ちを身につけるため、医学部と保健看護学部が1年次に実施しているケアマインド教育に薬学部も参画するほか、地域に根ざしたチーム医療などを学ぶ機会を2年次以降にも設ける見通しである。

3学部の共同研究も推進する。薬学部新設に合わせ、医学部と大学病院がある紀三井寺キャンパス内に、3学部の合同研究棟が来年9月に設置される。同棟を拠点に、臨床系の共同研究に取り組む予定。「医学部は癌、神経系疾患を重点的に研究している。これら2領域での共同研究が見込まれる」(太田氏)という。

これまで21年4月の新設に向けた薬学部の教育研究体制や方針は、太田氏、赤池昭紀氏(前名古屋大学大学院創薬科学研究科教授)ら4人の主要教員候補者が集まり、話し合いを進めてきた。

新設薬学部では18研究室を設け、各研究室を「物理・化学薬学」「生命薬学」「医療薬学」「臨床・社会薬学」の4部門で束ねる計画。研究室を主宰する教授候補者18人の公募を昨年4月から段階的に開始し、18年度内に全ての候補者が出揃った。4人の主要教員を加えて教授は22人体制になる。

今年度前半には、教授候補者が集まってカリキュラム編成を本格的に進める。同時に今月以降、准教授、講師、助教の推薦や公募を開始し、教員は計60人体制になる予定だ。研究室のうち五つは臨床系に位置付けられ、他の国公立大学薬学部に比べて臨床系教員の割合が高いのが特徴。大学病院薬剤部との教育、研究の連携も深める。

医療薬学部門長に就任予定の赤池氏は、「疾病の予防、治療、亡くなる前の三つの期に薬剤師が関わり、役割を果たすことが求められている。それを意識した教育、研究がこれからの薬学にとって重要になる」と語る。

現在、県立大学の使命として定員に県民枠を設けることを検討中だ。全教員が揃う23年4月の開始を目指し、大学院の設置も今後検討する。

薬学部のキャンパスは、医学部がある紀三井寺キャンパスから約5km北にある市立伏虎中学校跡地に設けられる。和歌山市の中心部に位置し、アクセスは良好。地上11階、地下1階建て校舎の建設は今年1月から始まった。20年12月に竣工する見通しだ。

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