政府の経済財政諮問会議は10日、今年度の骨太方針の策定に向け、具体化が必要な社会保障改革を議論した。民間議員は、医療・介護分野の改革で2020年度診療報酬改定に言及。特に調剤報酬に関しては、「引き続き課題が残っており、大胆な改革の推進が必要」と強調。調剤料など技術料やかかりつけ薬局などの効果や意義を検証した上で、正当性が疑われる場合は「報酬を大胆に適正化すべき」と大幅な引き下げを迫った。薬価制度の抜本改革も推進すべきとした。
民間議員は、社会保障改革のうち、特に医療・介護分野の改革として、▽20年度診療報酬改定に向けて▽次世代型行政サービスの推進▽地域医療構想の実現▽保険者機能の強化▽介護保険制度の見直し――の5項目に取り組むべきとし、骨太方針で具体化することを求めている。
来年度の診療報酬改定に向けては、調剤報酬の大胆な改革の必要性に言及。薬局数が依然増加を続けているとし、「その大きな原因は院内・院外での調剤報酬の内外価格差である」と指摘。調剤料などの技術料やかかりつけ薬局、健康サポート薬局といった制度について「効果や意義を改めて検証し、正当性が疑われる場合は調剤報酬を大胆に適正化すべき」と大幅な見直しを求めた。
また、薬剤の適正使用を目指し、症状が安定している患者に対するリフィル処方の推進を引き続き検討することを求めた。
薬価制度の抜本改革を推進していく必要性にも言及。イノベーション推進と高い創薬力を持つ産業構造に転換させるため、長期収載品の薬価引き下げまでの期間のあり方など、前回の薬価改定において積み残した課題を検討し、結論を得るべきとした。
民間議員からは、調剤報酬に関して、「院内・院外の価格差により、病院に薬剤師が集まらず、調剤薬局に集まるのは問題だ」と指摘があったのに対し、麻生太郎財務相は「調剤報酬などの公定価格の適正化を、しっかりと進める必要がある」と応じた。
次世代型行政サービスの推進については、電子カルテの標準化に関する目標を設定すると共に、財源となる医療情報化支援基金の使途や成果を見える化すべきとした。
保険者機能の強化に関しては、40~50代の特定健診・癌検診受診率を向上させるため、40代の突発死の割合などについての特定健診対象者への注意喚起と受診促進などを実施することを求めている。