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【感染症学会】ゾフルーザ耐性に警鐘-菅谷氏「外来で単独使用すべきでない」

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2019年04月10日 AM11:30


■季節性A型には適さず

耐性ウイルスの出現が問題となっている抗インフルエンザウイルス薬「」(一般名:)をめぐって、5日に名古屋市内で開かれた日本感染症学会で緊急的に議論された。インフルエンザの専門家である菅谷憲夫氏(けいゆう病院感染制御センター)は、A香港型インフルエンザ患者にゾフルーザを使うと高率に耐性が出ると指摘。特に今シーズンはA香港型が流行したことから、「季節性インフルエンザに外来で単独で使うべきではない」と警鐘を鳴らし、ノイラミニダーゼ阻害剤との併用が基本との考えを示した。

ゾフルーザは、昨年3月に塩野義製薬が発売したキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤。新規作用機序を持ち、1回のみの錠剤の服用でインフルエンザ治療が完結できることから、今シーズンに処方が爆発的に拡大した。ところが、3月に国立感染症研究所がA香港型インフルエンザ患者の7割で耐性ウイルスが検出されたことを発表。一転して衝撃が広がった。

ゾフルーザのA香港型インフルエンザにおける耐性率は、小児で23.4%、成人では9.7%と言われている。感染研による3月18日の調査結果では、A香港型30例のうち22例(73%)と極めて高い耐性率が報告された。

これについて、菅谷氏は「インフルエンザの専門家から見ると異常に高い数値である」との見解を示し、「タミフル」をはじめノイラミニダーゼ阻害剤では、A香港型の耐性率はゼロであると指摘。特にA香港型は、高齢者の死亡率を高めるほか、小児では脳炎を起こしやすい重要なインフルエンザとして、「耐性が全く出ないA香港型でこれだけ耐性が出ることは大きな問題」と警告した。

ゾフルーザは、H1N1型インフルエンザの成人患者でも、2.2%が耐性となった。菅谷氏は「低いと思うかもしれないが、タミフルでは成人患者で耐性率は0.5%程度であり、2.2%は高い」と指摘。B型インフルエンザ患者でも2例が耐性となったが、ノイラミニダーゼ阻害剤では全く耐性が出ていないとし、耐性ウイルスの出現によりウイルスの排泄期間と罹病期間を延長する問題点を挙げた。

その上で、今シーズンにゾフルーザが非常に多く処方されたことに言及。「今シーズン流行したのは耐性が極めて高く出るA香港型、しかも症状が延長することが分かっているのに、多く使われたことは非常に深刻な問題」との考えを示し、「これだけ処方されたのは、日本の医師がほとんど耐性のことを知らなかったためだと思う。企業も効果だけではなく、耐性ウイルスのことをきちんと医師に伝えるべきだった」と反省を促した。

これらを踏まえ、菅谷氏は、ゾフルーザについて、ノイラミニダーゼ阻害剤耐性ウイルスの流行時などに使う薬剤との見解を提示。

ゾフルーザによるインフルエンザ治療は、ノイラミニダーゼ阻害剤との併用が基本とし、「今シーズンのように季節性インフルエンザの外来でタミフルやイナビルの代わりに単独で使う薬ではない」と警鐘を鳴らし、「(ゾフルーザ単独投与は)耐性を起こすだけであり、効果も全くタミフルと同じなので意味がない」と強調。特にA香港型に対してはゾフルーザ単独で治療すべきでないと訴えた。

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