MR認定センターは、従来のMR認定制度を抜本的に見直し、2021年度から新制度を施行する。MRの修了認定条件となっていた企業が行う集合教育の必須時間を撤廃。履修時間ではなく、学習成果を確認して教育プログラムの修了認定を行う形に改める。個人学習による対応でも認定試験を受験できるようにし、受験資格を薬学部学生などに拡大することも視野に入れる。MR活動を取り巻く劇的な変化を踏まえ、方向性を大きく転換した。今回まとめた報告書をもとに企業からも意見を募集した上で、各委員会で具体策を集約し、20年に新制度を発表する。
MRは、所属する企業で合計300時間の座学を中心とした基礎教育と実務教育で構成された「導入教育」を受けた後に、MR認定試験の受験資格が得られ、合格すれば認定証が交付される。その後、合計40時間の基礎教育と実務教育で構成された「継続教育」を5年間受けることで認定証が更新される。
今回の抜本改革では、継続教育で定めている基礎教育を個人学習で対応し、導入教育と継続教育で定められている必須時間を撤廃するとした。企業が実施する集合教育の必須時間をなくすことで、個人受験など受験資格を拡大させ、薬学部学生にも門戸を広げていく方針だ。
近澤洋平事務局長は、現状のMR認定制度について「企業の教育研修の実施内容を把握せずに、時間の管理だけで機械的に修了認定しており、形骸化された制度になっていた」との認識を示した。その上で、「MR認定試験に合格した学生が卒業後に入社することで、企業は300時間の研修費用を削減できる」と説明した。
同センターでは、MRが医療従事者からの信頼を得るためには、MRの資質向上策の検討が急務であるとして、17年度に継続教育検討委員会を設置。「MRの将来のあるべき姿」と「継続教育の充実策」について議論し、昨年2月に提言をまとめた。
提言では、MRに対する教育環境を整備するためには、継続教育の見直しにとどまらず、MR認定制度の抜本的改革が急務であると判断。新制度を施行することになった。