■薬剤師の目前など責任前提
厚生労働省医薬・生活衛生局は、薬剤師が調剤に最終責任を持つことを前提に、薬剤師以外の者が行うことができる業務の基本的な考え方を整理した通知を、2日付で都道府県などに発出した。薬剤師の目が届く場所で、処方箋に記載された医薬品を取り揃えるなどの行為は「差し支えない」とする一方で、軟膏剤、水剤、散剤などの直接計量、混合は「違反行為」との考えを示した。ただ、水剤、散剤などの調剤に機器を活用しているケースは違法ではないとの考えを示した。今回の通知について、厚労省は、実際に調剤の現場で行われていることも含め「現時点での考え方を整理して示したもの」と説明するが、具体的な行為の例示は大きな反響を呼びそうだ。
通知では、薬剤師以外の者が実施しても差し支えない業務の考え方として、▽薬剤師の目が現実に届く限度の場所で実施されること▽薬剤師の薬学的知見も踏まえ、処方箋に基づいて調剤した薬剤の品質等に影響がなく、結果として調剤した薬剤を服用する患者に危害の及ぶことがないこと▽業務を行う者が、判断を加える余地に乏しい機械的な作業であること――の3点を挙げた。
いずれの業務も、調剤に最終的な責任を持つ薬剤師の指示に基づいており、調剤した薬剤の最終的な確認は指示した薬剤師が自ら行うことが前提となる。
その上で、非薬剤師が実施できる行為として、▽処方箋に記載された医薬品(PTPシート、またはこれに準ずるものにより包装されたままの医薬品)の必要量を取り揃える▽薬剤師による監査の前に行う一包化した薬剤の数量の確認――を例示した。
また、調剤に該当せず差し支えない行為として、▽納品された医薬品を調剤室内の棚に納める▽調剤済みの薬剤を患者のお薬カレンダーや院内の配薬カート等へ入れる▽電子画像を用いてお薬カレンダーを確認する▽薬局に医薬品の在庫がなく、卸などから取り寄せた場合に、先に服薬指導等を薬剤師が行った上で、患者の居宅などに調剤した薬剤を郵送――などを挙げた。
一方で、軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為については、たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても、薬剤師でない者が販売または授与の目的で調剤してはならないと規定している薬剤師法第19条に「違反する」とした。ただ、調剤機器を積極的に活用した業務の実施を妨げる趣旨ではないともし、調剤機器を活用した場合であれば違法ではないとの考えを示した。
薬局開設者が薬局で薬剤師以外の者に業務を実施させる場合には、法令遵守体制を整備する観点から、業務の実施に関する手順書を整備することや、業務に携わる非薬剤師への薬事衛生上必要な研修の実施を行うことを求めた。
非薬剤師の具体的な業務については、薬局における対物業務の効率化に資するよう、ICT活用も含め有識者の意見を聴いた上でさらに整理し、改正医薬品医療機器等法の成立から1年以内をメドに通知することとしている。