「エパデールT」を一般薬の第1類として販売することの是非をめぐっては、3月11日の調査会で委員から服用後の血液検査実施率の低さを不安視する声などが上がったことから、同22日の安全対策部会でも議論を行った。ただ、日医がセルフチェックシートの確認実施に関する調査データを疑問視するなど異論が出たことを踏まえ、調査会に差し戻して検討することとしていた。
今回の調査会では、3月の部会で「エパデールT」の一般薬移行に反対の立場を示していた城守国斗参考人(日医常任理事)が、重篤な副作用が報告されておらず、安全性に問題がないことなどから「承認拒否事由に当たらないことは理解する」とした。
ただ、日医が一貫して生活習慣病治療薬の一般薬移行に反対してきた経緯を踏まえ、「今回は特例として認めるが、本来は要指導薬にとどめておくべき」と、他の生活習慣病治療薬の一般薬への移行は認めない考えを示した。
望月眞弓委員(慶應義塾大学薬学部病院薬学講座教授)が「患者自身で管理するという意識を高めてもらうことが大事で、その意味でも『エパデールT』は良い薬ではないか」と述べたほか、概ね肯定的な意見が多数を占めたことから、調査会では「エパデールT」を一般薬の第1類として販売することを了承した。製造販売後調査終了後の今月15日から移行する予定だが、今回の結論を他の生活習慣病治療薬のOTC化に関する議論の前例としないことを確認した。
一方、これまでの調査会と部会における議論の内容を踏まえ、販売時・販売後の薬局での法令遵守を徹底するため、厚労省は一般薬への移行時に合わせ、製造販売業者や薬局等が取り組むべき措置をまとめた通知を都道府県や関係団体に発出するとした。
通知では、販売時に用いたセルフチェックシートの保管を薬局に義務づけ、製造販売業者に提出できるようにすることや、患者が「エパデールT」を服用するだけで生活習慣病を治療できると誤解しないよう、添付文書に「食事・運動・禁煙など生活習慣の改善を合わせて行うことが大切」と明記するよう要請する。
患者が血液検査を確実に行うため、添付文書に「服用3カ月後に医療機関等で血液検査を行い、中性脂肪値の改善を確認すること」と記載し、従来の「確認をお勧めする」から記載内容を変更するほか、セルフチェックシートに「血液検査値」の項目を設け、薬局で販売時に毎回確認することなどを求めている。
通知内容の遵守状況を確認するため、今年度から自治体に対して、一斉監視指導の対象として製造販売業者への立入検査を実施するよう求める。