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欧州医薬品庁がベドリズマブ皮下注射製剤の承認申請を受理-武田薬品

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2019年04月03日 PM12:00

中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者の維持療法として

武田薬品工業株式会社は4月1日、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者に対する維持療法として、消化管選択的に作用する生物学的製剤であるベドリズマブの皮下注射製剤の剤形追加を欧州医薬品庁()に申請し、受理されたと発表した。なお同社は、ベドリズマブの皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤、両方での提供を申請している。

(R)(国内販売名:))は、消化管に選択的に作用する生物学的製剤であり、現在、静注製剤として承認されている。同剤はα4β7インテグリンと特異的に拮抗し、α4β7インテグリンの腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)への結合を阻害するが、血管細胞接着分子1(VCAM-1)への結合は阻害しないようデザインされた、ヒト化モノクローナル抗体。

MAdCAM-1は消化管の血管およびリンパ節に選択的に発現。一方、α4β7インテグリンは循環血液中の白血球サブセットに発現している。これらの細胞は、潰瘍性大腸炎とクローン病における炎症プロセスを調節するうえで、重要な役割を果たしていることが明らかになっている。つまり、ベドリズマブでα4β7インテグリンを阻害することで、白血球細胞が消化管組織へ浸潤することを制限できる可能性がある。

剤形の選択肢が増えることで、患者のライフスタイルにあわせた治療が可能に

今回の申請は、ベドリズマブ皮下注射製剤の維持療法としての有効性および安全性を評価した臨床第3相試験であるVISIBLE1試験に基づいたもの。VISIBLE1試験は、治療開始時点(0週)および2週時点に、非盲検下にて導入療法としてベドリズマブの静脈内投与を2回行った後、6週時点で臨床的改善が得られた中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の216名の成人患者を対象に実施の試験。また、同申請パッケージには、クローン病患者を対象に実施中のその他のVISIBLE試験から得られた中間データについても含まれている。

VISIBLE1試験の主要評価項目では、52週時点における臨床的寛解が得られた患者の割合は、維持療法としてベドリズマブ皮下注射製剤108mgを2週間ごとに投与した群において、プラセボ投与群と比較して統計学的に有意に高い結果(ベドリズマブ皮下投与群:46.2%、プラセボ投与群:14.3%、p<0.001)を示した。また、ベドリズマブ静注製剤300mgを投与した参照群でも、52週時点で同様の臨床的寛解率(42.6%)を確認。さらに、52週時点における有害事象の発現率は、重篤な有害事象や感染症を含め、皮下注射製剤および静注製剤で同様の結果を示した。注射部位反応はベドリズマブ皮下投与群の患者の10.4%で発現したが(プラセボ投与群では0%)、いずれも軽度で、投与中止に至った患者はいないという。

武田薬品は「ベドリズマブの皮下注射製剤が承認されることになれば、現在用いられている静脈内注射(静注)製剤と併せて、患者に幅広い選択肢を提供することが可能となり、患者の希望する投与方法や、ライフスタイルにあわせた治療方法を選ぶことが可能になる」と、述べている。(QLifePro編集部)

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