局所的な磁場の乱れを高精度に補正し、再現性の高い画像を提供
シーメンスヘルスケア株式会社は3月12日、生産性と再現性の向上をコンセプトとした新型3T(テスラ)MRI 「MAGNETOM Lumina」と1.5T MRI 「MAGNETOM Altea」を発売した。これに伴い、同社は3月19日にプレスセミナーを開催。同社ダイアグノスティックイメージング事業本部MR事業部の宇根田宏徳氏が、新発売した2機種の特徴について紹介した。
画像はリリースより
同社はこれまでも、研究用と臨床用のMRIをそれぞれ販売してきたが、今回発売したMRI 2機種は臨床用MRIの新型機種だ。研究用MRIのハイエンドに位置する3T MRI「MAGNETOM Vida」に採用されている「BioMatrix Technology」を、臨床用MRIとして初めて搭載した。BioMatrix Technologyは、患者の性別、年齢、体型、症状などによらず再現性の高い画像を安定的に撮像する技術で、全ての被検者にとって質の高いMRI検査が可能となる。BioMatrix Technologyを搭載したMAGNETOM LuminaとMAGNETOM Alteaは、従来品と比べて再現性と生産性が向上したという。
再現性の向上に関連している技術のひとつが、「BioMatrix Sensors」だ。同技術により、呼吸ベルト・呼吸センサーのセッティングや、ナビゲーターエコーの設定作業が不要となった。装置に内蔵された呼吸センサーは、被検者が寝台に寝るだけで自動的に呼吸状態をリアルタイムでモニタリング。精度の高い呼吸同期撮像が可能だ。一方、患者ごとに乱れる静磁場への対策を行うのが「BioMatrix Coilshim」だ。頭頚部用コイルに専用のシムコイルを内蔵し、局所的な磁場の乱れを高精度に補正する。複雑な形状のため安定した脂肪抑制が難しい頭頚部検査においても、脂肪抑制効果を安定して実現し、再現性の高い画像の提供が可能となった。また、スライスごとに適切なシミングを行う「BioMatrix SliceAdjust」が拡散強調画像(DWI)や脂肪抑制併用のスピンエコー法(SE)画像の画質を改善、全身にわたってばらつきのない画像の撮像が実現した。
膝関節のMRI検査では50%の時間短縮
ダイアグノスティック
イメージング事業本部MR事業部
宇根田宏徳氏
MRI検査の効率性向上に寄与しているのが、高速撮像技術であるParallel Imaging、Simultaneous Multi-Slice(SMS)、Compressed Sensing(CS)を統合的に組み合わせた高速撮像パッケージである「Turbo Suite」だ。とくに、複数断面の同時励起、同時データの取得ができるSMSを統合したことが「シーメンスの特徴」(宇根田氏)であるという。Turbo Suiteは、検査部位や検査目的に応じて2D・3D撮像どちらにも適応でき、ルーチン検査全般の撮像時間短縮が可能だ。海外での使用例では、頭部MRI検査において従来と比べて34%の時間短縮、膝関節MRI検査において50%の時間短縮が実現したという。「とくに整形外科の領域では、画像撮影の時間短縮が臨床現場の負担軽減に寄与すると期待している」と宇根田氏。長時間の体位保持が困難な症状を有する患者や高齢者、小児に対しても、撮像時間が短縮されればMRI検査の適応が広がる。さらに、「BioMatrix Select&Go」によって、検査時に必要な情報を簡単に確認し、ワンタッチで撮像したい部位へのポジショニングが可能となった。これにより、ポジショニングにかかる時間を30%短縮できるという。
同社は、4月12日~14 日に開催される「2019 国際医用画像総合展(ITEM 2019)」に出展し、MAGNETOM LuminaとMAGNETOM Alteaを展示予定だとしている。
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・シーメンスヘルスケア株式会社 プレスリリース