厚生労働省は27日、先発バイオ医薬品と同一の有効成分などを持つ「後発バイオ医薬品」(バイオセイム)の新規収載時の薬価算定ルールについて、暫定的に先発品薬価の70%とする案を中央社会保険医療協議会薬価専門部会に示し、了承された。6月に後発品収載が控えていることやバイオ後続品の競争力維持などを考慮し、暫定的にバイオ後続品と同様の薬価に設定する。ただ、厚労省は引き続き、バイオ医薬品の適切な競争環境を維持するための薬価算定ルールについて検討するとしている。同日の中医協総会でも承認された。
バイオ後続品は、遺伝子組み換え技術や細胞培養技術などを応用し、微生物や細胞が持つ蛋白質を作る力を用いて製造されるバイオ医薬品と同等の安全性、有効性が治験で確認されている医薬品。化学合成品の先発品・後発品は有効性と安全性が同一だが、バイオ医薬品では先発品と後発品で品質や有効性・安全性が同一でない場合があり、バイオ後続品の薬価は先行品の0.7がけとなっている。
一方、バイオセイムは、有効成分や製法などが先発品と同一という特徴を持つが、これまで上市が想定されていなかったため、薬価をどのように算定するかが課題となっていた。
この日の部会で厚労省は、バイオセイムがバイオ後続品より低い価格で薬価収載されると、バイオ後続品の開発自体が行われなくなる恐れがあるほか、後発品収載が6月に迫っていることなどから、バイオセイムの薬価を暫定的にバイオ後続品と同様に先発品薬価の0.7がけとする案を示し、了承された。
その上で、バイオ後続品の開発状況を考慮したバイオセイムの収載価格の算定とバイオ医薬品の適切な競争環境を維持するため、次期薬価改定に向け引き続き薬価算定上のルールを検討することとした。
松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「薬剤費適正化の観点から、バイオ後続品の推進がますます重要となることは間違いない。その中で、バイオ後続品の開発が停滞することがあれば由々しき問題」と指摘。
吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「暫定措置としてバイオ後続品と同等の評価とするのは分からなくはない」としつつ、「バイオ医薬品の開発状況を考慮すると、次期改定までにバイオ後続品とバイオセイムの薬価制度上の位置づけと評価のあり方を整理し、議論することが必要」と指摘した。