血中VC濃度が低い場合の、筋力・身体能力への影響を調査
東京都健康長寿医療センターは3月22日、骨格筋でのビタミンC不足は、筋萎縮や身体能力の低下をもたらすことを明らかにしたと発表した。この研究は、同センターの石神昭人研究部長、船越智子技術員、谷津智史非常勤研究員、滝沢晶子連携大学院生らと、東邦大学の永田喜三郎教授、首都大学東京の相垣敏郎教授、順天堂大学の町田修一教授らと共同で行われたもの。研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」電子版に、3月20日付で掲載された。
画像はリリースより
標準的な男性や女性の骨格筋量は、体重の30~40%を占めるとされ、骨格筋にはビタミンCが多く存在している。同研究グループは、以前に東京都板橋区在住の70~84歳の高齢女性を対象とした横断調査により、血漿ビタミンC濃度の高い高齢者女性は、握力、開眼片足(片足で立っていられる時間)、通常歩行速度などの筋力や身体能力が高いことを報告していた。一方で、逆に血漿ビタミンC濃度が低い場合に筋力や身体能力が低下するのかは未解明だった。
VC不足での骨格筋の萎縮や身体能力は、再投与により回復
今回の研究では、ヒトと同様に体内でビタミンCを作れないビタミンC合成不全マウスを用いて、血漿や骨格筋のビタミンCが減少すると骨格筋にどのような影響があるかを詳細に調べた。具体的には、雌のビタミンC合成不全マウスをビタミンC投与群と非投与群の2群に分け、投与4、8、12、16修吾に腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋、長趾伸筋などの骨格筋の筋重量を定期的に測定した。その結果、ビタミンC不足期間が長くなると筋肉を構成する筋線維が細くなり、筋重量が減少し、再びビタミンCを与えると回復することが判明。また、筋力や自発的活動量などで評価した身体能力も同様にビタミンC不足期間が長くなると低下し、再びビタミンCを与えると回復したという。
この研究により、ビタミンC不足は、骨格筋の萎縮や身体能力の低下をもたらすことが明らかとなった。また、ビタミンCの再投与により回復できることも判明した。ビタミンCは手軽に摂取できる食品成分であるため、今回の研究成果は、筋肉でのビタミンCの機能解明に大きく貢献するものと期待される。
▼関連リンク
・東京都健康長寿医療センター研究所 プレスリリース