抗菌薬使用量や適正使用推進活動に関するサーベイランスの枠組みを構築
国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは3月22日、全国の医療施設が利用できる薬剤耐性(AMR)対策のためのプラットフォーム「J-SIPHE」(ジェイサイフ)を4月から本稼働させると発表した。
画像はリリースより
抗菌薬の不適切な服用に因る薬剤耐性菌の増加を危惧し、WHO(世界保健機関)は2015年に「薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクション・プラン」を採択。日本でも2016年に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を策定し、各分野における目標を掲げた。AMR臨床リファレンスセンターは、アクションプランの取り組みを推進するため、2017年厚労省委託事業として設立され、その事業のひとつとして、抗菌薬使用量や適正使用推進活動に関する医療関連のサーベイランスの枠組みを構築。データ統合の基盤を形づくり、あらゆる医療施設での情報を有機的に共有し、有効活用するためのシステム「J-SIPHE(感染対策連携共通プラットフォーム)」を開発・構築した。
J-SIPHEの活用で、全国共通の薬剤耐性における評価指標の検討が可能に
感染対策連携共通プラットフォームJ-SIPHEは、全国の医療施設が、共通の評価指標を用いて利用できるサポートシステム。2019年1月15日に一部運用を開始しており、同年4月にはすべての機能を搭載して稼働する。
参加する医療施設はアプリケーションソフトを使用し、自施設で参加登録を行う。その後、感染症診療状況、感染対策、抗菌薬適正使用への取り組み、医療関連感染の発生状況、主要な細菌、薬剤耐性菌の発生状況、抗菌薬使用等に関する情報を入力。入力情報は施設内での経時変化や他の医療施設との比較をグラフなどでわかりやすく見ることができ、地域の医療施設間のネットワークによる感染対策・薬剤耐性対策の推進にも活用できる。
J-SIPHEを活用することで、全国共通の薬剤耐性における評価指標の検討ができ、各医療施設でのシステム構築の費用軽減、担当者のデータ入力・取得の負担や時間の軽減が可能となる。また、多くの医療施設が参加することにより、国内の薬剤耐性対策の現状が把握できるだけでなく、より効率的な取り組みへとつなげていくことができるという。
AMR臨床リファレンスセンターは「このシステムの開発を構築すると共に、これらのデータを活用した薬剤耐性対策の推進を行っていく」と、述べている。