日米欧のiPS細胞データベース情報を統合、一元的に検索可能に
京都大学iPS細胞研究所CiRAは3月20日、日米欧のiPS細胞データベース情報を統合したウェブサイト「幹細胞バンクデータ統合コレクション」(Integarated Collection of Stem Cell Bank data by MIACARM(ICSCB))を開設したと発表した。同ウェブサイトは、CiRA未来生命科学開拓部門の藤渕航教授らの研究グループにより開設。第18回日本再生医療学会総会でのブース展示にて紹介された。
iPS細胞研究の効率化を目的として、世界中で樹立されたiPS細胞株が登録されたデータベースが日米欧を中心に作成・公開されており、近年では、それらの情報を統合化する動きが高まっている。そこで、同研究グループは、「理化学研究所バイオリソースセンター」、「幹細胞情報データベースプロジェクトSKIP」、「hPSCreg」、「eagle-i」の、4つの主要データベースの14,609件のデータを統合し、一元的に検索可能なウェブサイト「幹細胞バンクデータ統合コレクション」を開設した。
希少疾患から樹立された数少ないiPS細胞の検索も容易に
これまで上記の4つのデータベース間では同一データが相互登録されており、検索すると同じ細胞が複数回ヒットすることがあった。そこでこれらを整理し、11,247件のデータとしてまとめ、同研究グループが既に開発しているヒト細胞データベース「SHOGoiN」ウェブサイトのトップページに組み込み、検索可能とした。また、統合検索の際には、それぞれのデータベースでデータの検索項目が異なることが大きな課題となるが、同研究グループらが2016年に日欧米英の国際協力のもとで開発した幹細胞データ記述ガイドライン「MIACARM」を適用することで、統合検索が可能となった。
同ウェブサイトでは、簡易キーワード検索のほかに人種・性別・細胞源・疾患名・細胞グレードなど詳細を設定でき、健常人由来iPS細胞や、パーキンソン病、加齢黄斑変性など世界で樹立された疾患特異的iPS細胞の検索を容易に行うことができる。とりわけ、進行性骨化性線維異形成症(FOP)など希少疾患から樹立された数少ないiPS細胞を世界中の研究機関のデータからより容易に探し出せるようになることで、入手しやすくなり、より効率的な研究の推進に貢献できると期待される。
今回開発した検索ページ(英語)は、研究者を対象としているが、2020年には一般向けのウェブサイト(日本語)を開発する予定。
▼関連リンク
・京都大学iPS細胞研究所CiRA ニュース