薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会は22日、持田製薬の中性脂肪異常改善剤で、要指導医薬品の「イコサペント酸エチル600mg」(製品名:エパデールT)を一般用医薬品の第1類として販売することの可否について議論したが、同部会の安全対策調査会に差し戻して審議することを決めた。11日の調査会での結論を踏まえ、この日の部会で委員から意見を聞いたが、セルフチェックシートの確認の実施など、調査データを疑問視する意見が上がり、部会でも結論は出なかった。
イコサペント酸エチルをめぐっては、11日の安全対策調査会で、一般用医薬品の第1類として販売することの可否について審議を実施。ただ、委員からは服用後の血液検査実施率の低さを不安視するなどの意見が上がったことを踏まえ、安全対策部会で販売時の対応を中心に議論することとしていた。
多田紀夫参考人(日本動脈硬化学会名誉会員)は、「副作用がない薬はなく、副作用が現れた場合はいかに早く見つけ、販売者が患者を支援しながらうまく使うかが大事。この範囲で使う分には問題ないのではないか」と述べ、一般薬としての販売に肯定的な考えを示した。
一方、城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「生活習慣のコントロールは非常に難しく、服用すれば生活習慣病が治るとの誤解を患者に与えかねない」などの考えから、日医が同剤を要指導薬として販売することに反対し続けてきた経緯に言及。
その上で、「患者が本当にセルフチェックシートに記入していたかどうか信用性の担保に疑問がある」などの理由から、「一般薬への移行には断固反対」と述べた。
薄井紀子委員(東京慈恵会医科大学客員教授)は、中性脂肪値が悪化した事例が報告されていることを踏まえ、「エパデールTにアクセスしやすくなることは良いが、悪化した症例があることは問題。効果を担保する仕組みが必要」と注文をつけた。
これらの意見を踏まえ、部会として「一般薬への移行を見送り、要指導薬のままとどめるべき」との結論を出したが、厚労省は「要指導薬のままとどめるとのルールはなく、結論を出すのは安全対策調査会の役割」と説明。そのため、調査会に差し戻して議論した上で、再度部会に報告することとした。