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【京大と薬局2社が共同研究】薬剤師教育プログラム開発へ-生活習慣病の病態改善支援

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2019年03月25日 PM12:45

京都大学大学院医学研究科健康情報学研究室は、生活習慣病患者の病態改善を支援する薬局薬剤師の教育プログラムを、薬局を経営する2社と共同で開発する。生活習慣病患者に対する薬局薬剤師の効果的な声かけによって血圧や血糖値が改善することを国内の臨床研究で実証した薬剤師の岡田浩氏が、4月1日付で同研究室の特定講師に就任し、中山健夫教授と共に4月から3年間の共同研究を開始する。これまでの研究で確立した関わり方を実践できる薬剤師を広く育成したい考えだ。

岡田氏

岡田氏らは、これまで一連の「COMPASS」研究を実施。患者に対する薬局店頭での薬剤師の数分程度の効果的な声かけや資料提供には、生活習慣を自ら改善する意欲を高め、血圧や血糖値を改善させる効果があることを国内のランダム化比較試験で明らかにしてきた。

次のステップとして、臨床研究で確立したエビデンスを全国の薬局薬剤師に広く実践してもらうため、教育プログラムの開発を構想。薬局を経営する阪神調剤ホールディング、中川調剤薬局の2社の賛同を得て共同研究に取り組むことになった。

具体的な教育プログラムの内容については今後検討を進めるが、現段階ではウェブサイトなどを活用したe-ラーニングを主軸に、ワークショップを組み合わせる形態を想定している。

医療の質を評価する指標「」の概念に基づき、薬剤師が高血圧患者や糖尿病患者にどのように関わるべきか、そのポイントを数十項目にわたって列記する指標の作成にも取り組む予定としている。

この指標は、教育プログラムを受講した薬剤師の資質の評価に活用できるほか、現場で実践する上でのチェックリストとしても使える。指標を活用したり、薬剤師の介入研究を実施したりして、構築した教育プログラムにはどのくらいの有用性があるのかも検証する計画だ。

世界では、エビデンスが確立されていても、それが臨床現場で実践されていない“エビデンス診療ギャップ”が問題視されている。この問題を解決するため、最近ではエビデンスが幅広く実践されるための方法論や道筋を研究する「インプリメンテーション・リサーチ」が注目を集めている。今回の共同研究は、その潮流に乗ったものだ。

中山氏は、「高血圧や糖尿病のコントロールは良くなりつつあるが頭打ち。パブリックヘルスの観点から、別の視点での新たなアプローチとして薬局が社会の中で役割を担えるのではないかとの期待がある。実際に国内外でそのエビデンスが確立されてきた。それを普及させるにはどうしたらいいかという段階になっている」と強調する。

岡田氏も「社会の中で患者さんが困っているのに、相談できる相手が十分にいないという現状がある。医療のことが分かり、エビデンスベースで話ができる薬局薬剤師の存在は重要。社会の中で欠けているミッシングピースを埋められる」と語る。

研究を通じて、高血圧や糖尿病の診療ガイドラインに薬剤師の役割が記載されるような働きかけも行いたい考えである。

中山氏は、診療ガイドライン作成の専門家であり、ガイドラインの作成には、どのような手順が必要で、どんなエビデンスが求められるのかを十分に把握している。薬剤師の関与によって生活習慣病の病態改善に至ったことを示す国内外の論文を集めてシステマティックレビューを行い、そのエビデンスなどをもとに、薬剤師の役割がガイドラインに反映されるようにしたいという。

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