中間取りまとめでは、今後の臨床研究・治験を活性化させるための課題と対応策として、▽新薬・新医療機器等の開発と治療の最適化のための研究のバランス▽リアルワールドデータ(RWD)の利活用促進▽小児疾病・難病等の研究開発が進みにくい領域の取り組み▽人材育成の強化と財政的リソースの効率化▽国民・患者の理解や参画促進――の5項目を示した。
新薬・新医療機器等の開発と治療の最適化のための研究のバランスでは、新薬・新医療機器開発の推進を継続する必要がある一方、市販の医薬品同士を比較して診療ガイドラインの改善につなげるなど、治療の最適化に関する臨床研究への支援が不十分であると指摘。新薬開発と治療の最適化を目的とした研究をバランス良く進める方策を検討すべきとした。
RWDの利活用促進では、専門領域ごとに各国立高度専門医療研究センターが構築する疾患登録システムのデータを充実させるべきとしたほか、同システムがアカデミアにおける限定的な利用にとどまらず、新薬開発にも利用される取り組みを進めるべきとした。
小児難病・難病等の研究開発が進みにくい領域の取り組みについては、小児用医薬品の臨床試験が効率的に実施できる支援体制の構築を進める。また、難病に対しては製薬企業のニーズを踏まえ、患者リクルートに使いやすい疾患登録システムの構築を支援すると共に、臨床試験におけるコントロール群として活用できる仕組みを整備する必要があるとした。
■中核病院あり方は今夏結論‐領域横断、特定領域に分類
また、臨床研究中核病院のあり方については、「領域横断型」と「特定領域型」に分ける案を示した。領域横断型では、大学病院などを拠点とし、特定の領域に限定せず、国際水準の大規模な臨床研究・治験を実施できる体制を整備する。また、地域の医療機関との連携・支援や人材育成を通じて国全体の臨床研究等を実施できる体制を底上げするほか、研究の効率化させる観点から、RWDを活用した研究も推進する。
一方、特定領域型では、国立高度専門医療研究センターなどを拠点に、重大な影響のある疾患、小児疾患、難病など、国民の健康に重大な影響のある特定の領域について、長期的に臨床研究・治験を行うことが重要とした。
ただ、委員から「想定外の事態が起こることが前提なので、特定領域のように限定した括りにするかどうかは検討が必要ではないか」「病院機能がごちゃごちゃになる可能性があるので、今後も議論すべき」などの声が上がったことを踏まえ、臨床研究中核病院のあり方については、今夏をメドに引き続き検討することとした。