厚生労働省は11日、来年度から適用される医療用医薬品の新添付文書記載要領について、バルプロ酸やペニシリン系抗生物質など11品目の原則禁忌の一部記載内容を「禁忌」の項目に移行する考えを薬事・食品衛生審議会安全対策調査会に示し、了承された。原則禁忌の記載内容は、基本的に新設される項目の「特定の背景を有する患者に関する注意」に移行する予定だが、これら11品目の一部記載内容は海外や類薬で禁忌とされていることから、関連学会の意見などを踏まえ、禁忌の項目に移すことが適当と判断した。厚労省は、原則禁忌から禁忌の項目に移行する一部の記載内容について、「使用上の注意」の改訂として通知し、今後も禁忌への移行が必要な医薬品を検討していく予定だ。
今回、原則禁忌の記載内容のうち、一部を禁忌の項目に移行する医薬品は、▽アモバルビタール▽セコバルビタールナトリウム▽ペントバルビタールカルシウム▽バルプロ酸ナトリウム▽ヒドロキシエチルデンプン70000▽ペニシラミン▽セフェム系抗生物質▽ペニシリン系抗生物質▽グリコペプチド系抗生物質▽ペネム系抗生物質▽カルバペネム系抗生物質――の11品目。
アモバルビタール、セコバルビタールナトリウム、ペントバルビタールカルシウムでは「急性間歇性ポルフィリン症患者」の記載、バルプロ酸ナトリウムでは「妊婦または妊娠している可能性のある婦人」の記載を禁忌の項目に移行する。
また、ヒドロキシエチルデンプンでは「発疹等過敏症の既往歴のある患者」、ペニシラミンは「骨髄機能が低下している関節リウマチ患者」、抗生物質5品目は「過敏症の既往歴のある患者」の記載を禁忌の項目に移す。
来年度から適用される添付文書の新記載要領では、原則禁忌と「慎重投与」の項目を廃止し、原則としてこれら項目の記載内容については、新設される「特定の背景を有する患者に関する注意」などの項目に移行することになった。
ただ、海外や類薬の添付文書の記載から、禁忌の項目に移行することが適切と考えられる内容もあることから、国内外のガイドラインや関連学会からの意見を踏まえた上で、これら11品目を選んだ。厚労省は、今後も禁忌に移行することが適当な原則禁忌の記載内容がある医薬品の検討を続けていく予定だ。