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ファイザー日本法人の2018年売上高、前年比2.6%増の4536億円-原田社長が会見

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2019年03月08日 PM01:00

乳がん治療薬イブランスが大きく牽引

ファイザー株式会社の原田明久社長は3月5日、同社主催の会見で日本法人の2018年業績が前年比2.6%増の売上高4536億円だったと報告した。この要因について原田社長は「2018年4月の薬価改定で約6%の影響を受けたが、2017年12月に発売した乳がん治療薬のイブランスが業績を大きく牽引した」と説明。2019年については、昨年3月にトランスサイレチン型心アミロイドーシスの適応で先駆け審査指定制度の対象品目に指定されたビンダケル(一般名:タファミジスメグルミン)の適応追加も含め、「3製品の承認を目指す」との方針を明らかにした。


ファイザー株式会社 原田 明久 代表取締役社長

会見で原田社長は、今年1月からスタートした同社医療用医薬品事業の組織改編についても説明した。従来の新薬中心のイノベーティブヘルス事業部門とジェネリック中心のエッセンシャルヘルス事業部門の2事業部門体制から、前者を「バイオファーマシューティカルズ事業部門」へ改称、エッセンシャルヘルス事業部門については発展的に「アップジョン事業部門」に再編。「バイオファーマシューティカルズ事業部門」については、旧イノベーティブヘルス事業部門時代のワクチン、オンコロジー、インターナルメディスン、希少疾病、免疫・炎症の5部門体制に加え病院部門を新設し、アップジョン事業部門については非感染性疾患(NCDs)である循環器、、精神疾患など治療薬16製品を管轄するとした。

また、同社の新たな教育助成モデルについても公表。新たな助成モデルは、学会・講演会に対して寄付金を提供する従来の形から、医療現場でのナレッジギャップ、プラクティスギャップの解消を目的とした教育プログラムを公募し、それに対して助成金を提供する仕組み。原田社長は「当然ながらこうしたプロジェクトに当社が立案や実行で関与することはなく、外部有識者による審査を経たものに助成金を提供するもの」と述べた。

厚生労働省が策定し、今年4月から適応される「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」については「現在社内体制を構築中」とし、これに応じたMRなどの営業部門の人事評価制度の変更の可能性についても「現在検討中」(原田社長)と述べるにとどまった。

ファイザーR&D石橋社長「規制当局と継続的な協議を」

一方、研究開発状況については昨年11月末に設立され、日本法人から医薬開発部門が移管されたファイザーR&D合同会社の石橋太郎社長が説明した。

現在申請中の品目として前述のビンダケルに加え、腎細胞がんに対する併用療法として適応追加を狙う抗PD-L1抗体アベルマブがあり、、がん性疼痛に対する神経成長因子に対するモノクローナル抗体のタネズマブ、急性骨髄性白血病に対するスムーズンド(SMO)阻害薬のグラスデギブマレイン酸塩、去勢抵抗性前立腺がんに対するPARP阻害薬のタラゾパリブ、アトピー性皮膚炎に対するJAK1阻害薬のPF-04965842、円形成脱毛症に対するJAK3阻害薬のPF-06651600、初発のクロストリジウム・ディフィシル感染症予防ワクチンPF-06425090がフェーズ3段階にあることを紹介した。

また、石橋社長は米本社が血友病やデュシェンヌ型筋ジストロフィーで進めている遺伝子治療の臨床試験について、日本でも開始準備を進めていることを明らかにした。これら遺伝子治療については、血友病Aはサンガモ社、血友病Bはスパーク社と共同開発で、筋ジストロフィーは自社開発。ただ、石橋社長は、アメリカでは投与経験が蓄積されている遺伝子治療用ウイルス・ベクターは臨床試験前に特別な評価が不要なのに対し、日本ではカルタヘナ法に基づき、生物多様性への影響評価を臨床試験前に終了させることが求められていると解説。そのうえで対象疾患が希少疾患のため、国際共同開発が第一選択となるものの、こうした規制の違いにより、「現在では日本とアメリカでは臨床試験開始に半年から1年以上のラグが生じてしまう」と指摘。「日本で画期的遺伝子治療の開発を行うために規制当局と継続的な協議を続けていきたい」と認識を示した。

石橋社長は患者中心の医薬品開発への取り組みも紹介。実施中の臨床試験の概要や実施医療機関を自社サイトで公開するとともに、臨床試験の参加同意に当たって紙資料ではなく、タブレット端末を通してデジタル動画も交えた説明を行い、参加同意も電子的に取得する「eコンセント」を昨年後半から試行開始したことを明らかにした。また、治験薬や自宅で採取可能な検体の直接配送の仕組みも構築中とした。

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