優先審査品目に指定され、2019年1月に承認
ファイザー株式会社は3月1日、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」の効能・効果で、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤「ビジンプロ(R)錠15mg、同45mg」(一般名:ダコミチニブ水和物)を発売したと発表した。
画像はリリースより
ビジンプロはキナーゼ阻害剤で、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬。用法用量は1日1回45mgで、食事に関係なく経口投与する。減量が必要な場合、初回の減量は1日1回30mgとし、さらに減量が必要な場合は1日1回15mgとする。
日本において、ビジンプロは優先審査品目に指定され、2018年5月に製造販売承認を申請後、約7か月間の審査期間を経て、2019年1月に承認。米国では、米国食品医薬品局(FDA)より優先審査に指定され、2018年9月に「EGFR エクソン19欠失あるいはエクソン21 L858R変異を有する転移性NSCLCの一次治療薬」として承認を取得した。EU(欧州連合)においては、2019年2月にEMA(欧州医薬品庁)の医薬品委員会(CHMP)から、「EGFR活性化変異を有する局所進行または転移性NSCLCの成人患者に対する一次治療薬」として、肯定的見解を得ている。
EGFR肺がんに対する一次治療の新たな選択肢に
ビジンプロの有効性と安全性は、同剤とゲフィチニブを直接比較した国際共同第3相ARCHER1050試験の結果により確認されたもの。盲検下での独立中央判定(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)の中央値は、ビジンプロ群では14.7か月、ゲフィチニブ群では9.2か月で、ビジンプロ群はゲフィチニブ群と比べ、優れた改善を示した。また、全生存期間(OS)の中央値は、ビジンプロ群では34.1か月、ゲフィチニブ群では26.8か月だった。
EGFR肺がんは、日本人を含むアジア人において、腺がんの中でも50%を占めると言われ、欧米人と比較してその割合が高い。非小細胞肺がん治療では、個々の患者に合わせて薬剤を使い分け、患者に最大のベネフィットが得られるよう、治療シークエンスを考慮して長期生存を目指すことが目標となる。今後、EGFR肺がん一次治療の新たな薬物選択肢として、ビジンプロが治療に貢献することが期待される。
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