既存薬剤に抵抗性を示すアタマジラミが増殖
科研製薬株式会社および米Arbor Pharmaceuticals社(以下「アーバー社」)は、イベルメクチン0.5%外用剤(米国販売名「Sklice(R) Lotion, 0.5%」)について、日本における開発および事業化についてのライセンスに関する契約を、2019年2月27日付けで締結したと発表した。
アタマジラミ症は、アタマジラミが頭髪の接触などを通じて寄生し、頭髪に卵を産み付けて増殖する、小児に多い感染症。近年、沖縄県を中心に、既存薬剤に抵抗性を示すアタマジラミが増殖して問題となっており、抵抗性アタマジラミに対する有効性が報告されているイベルメクチン0.5%外用剤の開発が望まれている。
「医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議」において開発依頼
今回、ライセンス契約を締結したイベルメクチン0.5%外用剤は、アーバー社がアタマジラミ症を対象に米国で販売中。米国で実施されたアタマジラミ症を対象とした2つの多施設ランダム化基剤対照二重盲検試験において、有効性と安全性が検証されている。同剤は「医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、厚生労働省より開発企業が公募され、科研製薬が開発の意思を申し出たため、国内での開発および販売に関する契約を締結した。
今回の契約締結により、科研製薬は日本におけるイベルメクチン0.5%外用剤のアタマジラミ症に対する治療剤としての独占的な開発および販売の権利を取得。アーバー社に対して契約一時金を支払うとともに、開発および販売マイルストン、並びにロイヤルティを支払う。同件による2019年3月期連結業績予想の変更はない。
なお、イベルメクチンは駆虫剤で、国内では腸管糞線虫症及び疥癬の経口治療剤「ストロメクトール(R)錠 3mg」(製造販売元:MSD株式会社、販売:マルホ株式会社)として、承認されている。
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・科研製薬株式会社 ニュースリリース