特許庁は、4月からベトナム国家知的財産庁と実施している特許審査ハイウェイ(PPH)の対象件数を現行の100件から200件に倍増させる。経済成長を背景にビジネス環境の整備が進み、医薬品関連など多くの企業が進出している中、平均3年以上かかっていた特許審査期間が10カ月程度と大幅に短縮され、事業展開の円滑化が期待される。
これまでベトナム国家知的財産庁が特許出願を受け付け、最初に審査結果を出すまで平均3年以上かかっていたが、特許庁は2016年4月から、最初の出願国で特許可能と判断された出願について、簡易手続きで早期審査が受けられる特許ハイウェイの試行を開始した。日本で特許審査を受けた企業がベトナムで早期に特許権を取得できるようになり、ベトナム知財庁に特許ハイウェイが申請された出願については、平均約10カ月の短期間で審査結果が出されるなど一定の前進を見た。
ただ、これまでベトナム知財庁が受け付けた特許ハイウェイの申請件数は年間100件に限られており、過去3年間、日本からベトナムへの特許ハイウェイ申請は、すぐに上限に達してしまっていた。特に昨年度は、特許ハイウェイの申請受け付け開始からわずか2日で上限に達しており、ベトナム進出を目指す企業から上限の引き上げを求める声が強まっていた。
そこで今回、特許庁とベトナム知財庁は、4月1日からベトナム知財庁が受け付ける申請の上限を年間100件から200件に倍増させ、特許ハイウェイの試行をさらに3年間実施することで合意した。申請の上限については、制約が課される可能性があるとしているが、詳細が確定し次第公表するとしている。
ベトナムでは、ビジネス環境の整備が進み、多くの企業が多く進出しているが、こうした企業が現地で円滑に事業を展開するためには、特許権の活用が必要となるが、ベトナムの特許審査には長い時間がかかっていることが課題となっていた。