■20年度改定へ要望事項
日本病院薬剤師会は、2020年度診療報酬改定に向けた要望事項案をまとめ、23日に都内で開いた臨時総会で報告した。重点要望事項では、「病棟薬剤業務実施加算」について、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、有床診療所を算定対象とすることや、療養・精神病棟での8週制限の緩和を挙げたほか、抗菌薬適正使用支援加算の施設基準の要件緩和、周術期のチーム医療評価などを打ち出した。出席した代議員からは、病棟薬剤業務実施加算の算定対象の拡大を求める声が上がり、療養・精神病棟での8週制限の撤廃については、「現状にそぐわない。最優先で取り組んでもらいたい」との要望が出た。
日病薬では、重点事項として、「病棟薬剤業務実施加算の算定対象拡大」(回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、有床診療所)、「薬剤管理指導・退院時薬剤情報管理指導料の出来高払いへの移行」、「薬剤総合評価調整加算における連携管理加算の新設」を打ち出したほか、現行で常勤の薬剤師2名以上となっている薬剤管理指導料の施設基準について、「常勤薬剤師1名を含む常勤換算薬剤師2名以上」でも算定できることを目指し、要件緩和を求める方針。
感染防止対策加算1の届け出施設しか算定できない抗菌薬適正使用支援加算については「感染防止対策加算1、2のいずれかを算定する施設」への要件緩和を厚生労働省に要望する。
このほか、▽外来患者に対する薬学的管理指導に関する評価▽手術予定の患者に対する休薬・再開等薬学管理に関する評価▽他施設に薬学的管理指導に必要な情報を提供した場合の評価▽医師、薬剤師、看護師、臨床工学技士などが連携して周術期患者の管理をした場合の評価――などを重点事項に掲げた。
一般要望事項は、「バイオ後続品の使用体制に関する評価」「精神疾患患者に対する訪問薬剤管理指導の評価」など10項目をまとめた。
ブロック代表質問では、代議員から、病棟薬剤業務実施加算の算定対象拡大や、療養・精神病棟での8週制限の撤廃を求める声が上がった。
眞野成康常務理事は、「日病薬が実施した現状調査のデータでも、回復期リハ、地域包括ケア病棟で薬剤管理指導業務、退院時共同指導などの業務を実施していると回答している施設が多いことが既に示されている」と指摘。これらの病棟では、入院時の持参薬確認、服薬計画の提案、退院時の薬学管理指導など、「実際に多くの業務が行われているとのデータが出ている」とし、厚労省に対して算定対象の拡大を「引き続き要望していきたい」とした。
療養・精神病棟の8週制限については、「現状調査の回答施設の4割以上で9週目以降も病棟業務が実施されていたという実態がある」とし、調査結果をもとに要件緩和を求めていく考えを示した。
一方、臨時総会では、▽地域偏在の状況を調査し、薬剤師の人員不足への対策を検討▽卒後教育・研修の充実を図る▽がん薬物療法専門薬剤師制度(仮称)の創設を検討――などを柱とした19年度事業計画が了承された。
卒後研修の充実に向け、山田清文理事が19年度厚生労働行政推進調査事業費補助金「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」(研究代表者:山田清文・名古屋大学病院薬剤部)の一環として、「卒後研修に関する検討会」を新たに設置することを報告した。
研究事業では、国内外における卒後研修の実態把握を行うと共に課題を明確化し、卒後研修の基本理念と標準カリキュラムの作成などを行う。検討会には、日薬、薬学部の関係者もメンバーに加わる予定。