予後不良の進行性RCCに新たな治療選択肢を
米メルク社は2月16日、進行性腎細胞がん(RCC)の初回治療において抗PD-1抗体「KEYTRUDA(R)」(キイトルーダ、一般名:ペムブロリズマブ)とチロシンキナーゼ阻害剤「Inlyta(R)」(インライタ、一般名:アキシチニブ)の併用療法を評価する第3相試験KEYNOTE-426の詳細なデータを2019年米国臨床腫瘍学会泌尿器がんシンポジウム(ASCO GU、アブストラクト#543)で公表したと発表した。このデータは同時に「New England Journal of Medicine」にも掲載された。
KEYNOTE-426試験は、進行性または転移性RCCの初回治療におけるKEYTRUDAとアキシチニブの併用療法の安全性と有効性をスニチニブ(チロシンキナーゼ阻害剤)の単独療法と比較評価する無作為化2群間比較第3相試験。主要評価項目は、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の2つで、主な副次評価項目は客観的奏効率(ORR)、安全性、奏効期間、12か月、18か月、24か月時のPFS、12か月、18か月、24か月時のOS。主要評価項目はさらに腫瘍のPD-L1発現[CPS(combined positive score)<1(325例)、CPS≧1(497例)]に基づいて評価した。
この試験ではIMDC分類で低リスク、中リスク、高リスク(それぞれ269例、484例、108例)と評価された861名の患者に、KEYTRUDA200mgを3週間ごとに静脈投与・アキシチニブ5mgを1日2回経口投与し最長24か月まで継続する群(432例)と、スニチニブ50mgを1日1回4週間経口投与し、その後2週間休薬する群(429例)に無作為に割り付けた。
進行または死亡のリスクが31%低減
中央値で12.8か月のフォローアップ期間を経た初回中間解析の結果、KEYTRUDAとアキシチニブの併用療法では、スニチニブと比較して死亡リスクが47%低減し、OSが有意に改善した(HR0.53 [95%CI0.38-0.74]; P<0.0001)。PFSについては、KEYTRUDAの併用療法により疾患の進行または死亡のリスクがスニチニブと比較して31%低減した(HR0.69 [95%CI 0.57-0.84]; P=0.0001)。ORRは、KEYTRUDAとアキシチニブの併用療法群では59.3%(95% CI 54.5-63.9)で、スニチニブ群では35.7%(95% CI 31.1-40.4)(P<0.0001)。完全奏効率は、KEYTRUDAの併用療法群およびスニチニブ群でそれぞれ5.8%(25例)および1.9%(8例)、部分奏効率はそれぞれ53.5%(231例)および33.8%(145例)だった。
奏効期間の中央値は、KEYTRUDA併用療法群では未到達(範囲:1.4+~18.2+か月)で、スニチニブ群では15.2か月(範囲:1.1+~15.4+か月)。OS、PFS、ORRの結果は、IMDCリスク分類、およびPD-L1発現の有無にかかわらず一貫して認められた。同試験で認められた有害事象プロファイルは、KEYTRUDAとアキシチニブでこれまでに得られているプロファイルに基づき予測されるとおりだった。KEYTRUDAとアキシチニブの併用療法群では、グレード3および4の肝酵素上昇が、それぞれの単独療法でこれまでに認められていたものよりも高い頻度で認められた。
同社はこのデータを世界中の規制当局に提出している。また同社はRCCの広範な臨床開発プログラムを実施しており、KEYNOTE-564試験やKEYNOTE-581試験など、KEYTRUDAの単独療法および他の治療薬との併用療法を評価する、承認申請に向けた複数の試験を進行中。
▼関連リンク
・MSD株式会社 ニュースリリース