化膿性汗腺炎の適応を有する日本国内では初の薬剤に
エーザイ株式会社とアッヴィ合同会社は2月21日、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ(R)」(一般名:アダリムマブ(遺伝子組換え))について、化膿性汗腺炎(Hidradenitis Suppurativa:HS)の適応追加承認を取得したことを発表した。今回の承認により、同剤は日本において11番目の適応症を得たこととなり、また国内でHSの適応を有する初めての薬剤となる。
HSは、思春期以降に多く発症する疼痛を伴う慢性的な炎症性皮膚疾患。炎症症状は、腋窩、鼠径部、乳房、臀部などに頻発し、赤くはれ上がった「おでき」のような症状が主である。仕事や学業に影響を与え、進行した症例では瘢痕化し、皮膚移植を伴う大きな手術が必要となるなど、患者のQOLに大きく影響する疾患だ。
一方、疾患の認知度の低さや診断の困難さなどから、海外の報告では確定診断に至るまでの年数は平均7年といわれ、乾癬など他の炎症性皮膚疾患よりも長く、受診回数が多いことも報告されている。日本においても、疫学については一定の解釈に至っていない。
国内のP3試験、海外の臨床試験結果に基づき
ヒュミラに対する今回の適応追加承認は、国内の臨床第3相試験と海外の臨床試験のデータに基づくもの。いずれも中等症から重症のHS患者を対象に、同剤の有効性と安全性を評価した。国内の臨床試験では、主要評価項目である投与12週後のHiSCRを達成した患者は、15例中13例であった。同試験における投与24週時点での副作用は、15例中6例に認められ、2名以上の患者に認められた副作用は上咽頭炎、蜂巣炎であり、齲歯(うし)、紅色陰癬、毛疱炎、リンパ球数増加、紅斑、そう痒症、皮膚剥脱が各1名だった。
今回のHSに対する同剤の承認について、日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野の照井正教授はエーザイのプレスリリースで、「今回の承認は、HSの患者さんにとって大きな一歩となります。HSは、痛みと膿が出るのを繰り返す慢性炎症性疾患です。仕事や学業に影響を与え、進行した症例では瘢痕化し、皮膚移植を伴う大きな手術が必要となるなど、患者さんのQOLに大きく影響する疾患です。一方で、これまでは治療の選択肢が限られていました。『ヒュミラ』がHSの適応を持つことで、患者さんのQOLの向上に大きく貢献することが期待されます」と述べている。
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・エーザイ株式会社 ニュースリリース