海外では1970年代に承認済みだった抗けいれん剤
ファイザー株式会社は2月20日、てんかん重積状態治療薬「ロラピタ(R)静注2mg」(一般名:ロラゼパム)の発売を発表した。同剤は、生後3か月以上の小児および成人におけるてんかん重積状態の治療薬として開発されたベンゾジアゼピン系抗けいれん剤。海外では1970年に経口剤、1976年に注射剤が承認され、2018年6月現在、同社のロラゼパム注射剤は11か国で承認されている。そのうち7か国で、てんかん重積状態の適応症を有しており、4か国では小児の適応症も有している。
画像はリリースより
てんかん重積状態の原因疾患は、てんかんのほか、脳血管障害、中枢神経系感染症、熱性けいれんなど多岐にわたり、発作型や持続時間によっては長期的な後遺症を残す可能性のある疾患とされる。
ロラピタは、欧米ではてんかん重積状態の標準治療として使用されていたにもかかわらず、国内では未承認だった。そこで、日本てんかん学会と日本小児神経学会が、てんかん重積状態に対する開発の要望を提出。その後、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」における検討の結果、2010年に厚生労働省が開発要請を出し、同社が開発を進めていた。
てんかん重積状態における救急対応の新たな選択肢に
日本神経学会の「てんかん診療ガイドライン2018」では、てんかん重積状態の治療として、「第1段階での治療薬は、ベンゾジアゼピン系薬剤のジアゼパムないしロラゼパムの静注である。しかし、ロラゼパム静注製剤はわが国では未発売である」とされており、同剤は今後の日本のてんかん重積状態における救急対応において、選択肢の1つとなる。
ファイザーは、「本剤が、一人でも多くのてんかん重積状態にある患者の救急対応に役立てられるよう、適切な情報提供に注力していきたい」と、述べている。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース