GDPガイドラインは、医薬品の適切な流通経路の管理を保証し、偽造薬の流入を防ぐために卸売販売業者や製造販売業者が取り組むべき原則を定めたもので、昨年12月末に厚労省が公表した。
安川氏は、2017年に発生したC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品流通事件をきっかけに、偽造薬流通防止策の検討からガイドライン作成までの厚労省の取り組みを紹介。16年度から厚生労働科学研究班で医薬品の流通・品質保証に関する国際的管理基準「PIC/S GDPガイドライン」の国内導入に向けた検討を進めてきた中で、「ハーボニー事件がガイドライン作成の動きを加速させた」と説明した。
また、薬機法の見直しを検討する厚生科学審議会の取りまとめに、製造・流通に関するガバナンス強化策などを盛り込んだことなどにも言及した。
その上で、安川氏は、拘束力がないGDPガイドラインを業界に浸透させるため、「いかに周知して内容の理解を深めてもらうかが大事」との認識を提示。厚労省としても、様々な説明会などの場を通じてGDPの解説や現場の実態を紹介する方針を述べた上で、「各社がGDPをどう取り込むかを考える時期だ」と取り組みを促した。
さらに、安川氏は「既に省令に規定されている内容も多数ある。そこは義務として守ってもらう。どの部分が義務なのかを整理し、ガイドライン全体の中でどう考え、取り扱うかを考える必要がある」と述べた。
一方、患者のための薬局ビジョンで「対物業務から対人業務にシフトすべき」との考えを示していることにも触れ、ハーボニー事件を念頭に「決して対物業務を疎かにしてよいわけではなく、適切に対物業務を行っているからこそ対人業務ができる。改めて医薬品の管理をしっかりと行い、業界は品質確保にどう取り組むかや管理体制を考えてほしい」と注文をつけた。