PD-1とPD-L1・PD-L2の相互作用を阻害するキイトルーダ
MSD株式会社は2月13日、抗PD-1抗体「キイトルーダ(R)」(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))」について、チロシンキナーゼ阻害剤「アキシチニブ」との併用療法において、切除不能または転移性腎細胞がんに対する製造販売承認事項一部変更を承認申請したと発表した。
腎細胞がんは腎がんのうち最も多くみられる種類のがんで、腎がんの約9割を占めている。国内の腎がん患者数は年々増加しており、2014年時点の推定患者数は約25,000人。年間約9,000人が亡くなっていると推定されている。
キイトルーダは、T細胞に主に発現する受容体であるPD-1と、腫瘍細胞に発現するそのリガンドPD-L1およびPD-L2の相互作用を阻害する抗体。PD-1に結合し、この受容体とリガンドとの結合を阻害することによって、T細胞に生じたPD-1経路を介する抗腫瘍活性の抑制を解除する。
スニチニブとの比較で、全生存期間・無増悪生存期間を有意に延長
今回の製造販売承認事項一部変更承認申請は、国際共同第3相試験であるKEYNOTE-426試験の結果に基づいている。同試験において、進行性または転移性腎細胞がんの初回治療におけるキイトルーダとアキシチニブとの併用療法が、スニチニブと比較して全生存期間および無増悪生存期間を有意に延長したことが示されたという。
キイトルーダは、2017年2月15日に国内で販売を開始。これまでに「悪性黒色腫」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」の効能・効果について承認取得。さらに、乳がん、大腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、肝細胞がん、小細胞肺がん、進行性固形がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中だ。
現在、米国を含む88か国で承認を取得しており、世界では、900以上の臨床試験において30種類以上のがんについて検討が行われている。
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