厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は8日、初診を対面診療とする原則の例外として、緊急避妊薬を検討対象にすることを決めた。女性の心理と身体を考慮し、初診からオンライン受診することを肯定する意見が複数委員から出た一方、「ハードルを下げてしまうと安易に処方される恐れがある」など例外対象の拡大に慎重な声も上がった。次回以降の会合で専門家からヒアリングを行った上で、再度議論する予定だ。
この日の会合では、▽対面診療との組み合わせ・初診対面診療の原則の例外などの見直し――をめぐって検討した。
現行指針では、禁煙外来のみ対面診療を組み合わせずにオンライン診療が可能としているが、厚労省は例外対象の追加を提案。勃起不全症(ED)や季節性アレルギー性鼻炎、緊急避妊、性感染症など5件のうち、緊急避妊薬については、複数の委員から「拒めない性行為がある中で受診ハードルが高く、通常と異なる順番で受診することが必要。初診からオンライン診療が良いのではないか」など、肯定的な意見が出たことから、緊急避妊薬のみを検討対象にすることとした。
ただ、「ハードルが下がると安易に処方される恐れがある」「かかりつけ医が処方するなど一定の制限が必要」など、例外の対象拡大に慎重な意見も出た。次回以降の会合で、専門家からヒアリングを行った上で再度議論する。
また、新たな疾患に医薬品の処方を行う場合、対面診療を必須とする原則については、在宅診療など速やかな受診が難しい患者で、予測されていた症状の変化に医薬品を処方する場合、対象疾患名と共に予め診療計画に記載してあればオンライン診療を認めることとした。
同じ医師による診療原則の例外については、健常人の診療のうち「同じ医師が対面診療を行う必要性が低い」と判断されている診療を行う場合、特定の複数医師が交代でオンライン診療ができるとした。さらに、オンライン診療を行う医師には、厚労省の研修を受講して診療に必要となる知識習得を義務づける。10月以降は研修修了証をウェブサイトに掲載し、既にオンライン診療を実施している医師は、来年3月までに研修を受講すべきとした。