ファイザーは7日、高血圧症治療剤「アムバロ配合錠『ファイザー』」(一般名:バルサルタン/アムロジピンベシル酸塩配合錠)の自主回収(クラスI)を開始した。サルタン系医薬品の製造販売企業に対して、N-ニトロソジエチルアミン(NDEA)、N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)に関する発癌性リスクの管理が求められる中、同社が製造販売する全てのバルサルタン原薬を調査したところ、海外原薬製造所で製造された原薬2バッチで発癌性リスクを否定できないNDEA、NDMAを検出したため。現段階では健康被害の報告はないという。
今回、自主回収の対象製品となるのは、製造番号「X66074」「AF1679」「X66073」「X66072」「X62678」の5ロット。
ファイザーでは、海外原薬製造所で製造された全てのバルサルタン原薬を検査したところ、原薬2バッチでNDEAが許容限度値0.166ppmを超える最大0.23ppmが検出され、NDMAでは許容限度値0.599ppm以下ではあるものの、最大0.10ppmが検出された。製造番号品5ロットでこの2バッチが使用されており、同社では発癌性リスクが完全に否定できないため、自主回収することを決定した。
バルサルタン原薬の発癌性物質をめぐっては、中国の浙江華海薬業(ファーハイ)が製造した原薬を使用する、あすか製薬の「バルサルタン錠『AA』」からNDMAが検出された問題を発端に、安全対策が強化されている。米国と欧州では原薬製造業者が製造したバルサルタン原薬や他のサルタン系医薬品の原薬からも発癌性物質が検出され、バルサルタン製剤以外のサルタン系医薬品における発癌性物質混入の有無の調査が行われている。
国内では昨年11月に厚生労働省が、サルタン系医薬品に含まれる発癌性物質「NDMA」「NDEA」の含有量が管理値以下となるよう求める通知を製薬企業に発出。市場に流通した製品のうち、管理値を上回るものについては回収することを求めていた。