有効な臨床効果が認められる可能性が低いため
スイスのエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社は1月30日、初期(前駆期~軽度)の孤発性アルツハイマー病(AD)を有する患者を対象として開発中の抗ベータアミロイド抗体「クレネズマブ」の第3相臨床試験であるCREAD1試験およびCREAD2試験(BN29552およびBN29553)の中止を決定したと発表した。
この決定は、独立データモニタリング委員会により行われた、同剤の安全性および有効性を評価するために事前に計画された無益性解析の結果に基づくもの。同解析では、主要評価項目である臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes: CDR-SB)のスコアで評価した全般臨床症状のベースラインからの変化量を検討したが、有効な臨床効果が認められる可能性が低いことが示された。また、同剤に関する新たな安全性のシグナルは認められず、全体的な安全性プロファイルはこれまでに行われた試験と同様であった。
アルツハイマー病を対象とした他の臨床試験は継続
同剤について、家族性アルツハイマー病を対象としたAlzheimer’s Prevention Initiative(API)試験は継続される。さらにロシュ社はgantenerumabの第3相臨床試験であるGRADUATE試験と、抗タウ抗体の第II相臨床試験であるTAURIEL試験を含む、アルツハイマー病を対象とした進行中の臨床試験は継続して取り組むと発表している。
CREAD1試験およびCREAD2試験の成績は、近く開催される医学会で発表される予定。試験で得られた知見は、今後の研究プログラム、研究手法、および臨床試験デザインの参考とされる。
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース