腸管Na+/H交換輸送体(NHE3)を選択的に阻害する経口剤
協和発酵キリン株式会社は2月6日、米Ardelyx社から導入した低分子化合物 tenapanor(開発番号:KHK7791)について、国内第2相臨床試験を開始したと発表した。
tenapanor は、Ardelyxによって創製・開発された、経口投与による選択的な「腸管Na+/H交換輸送体(NHE3)阻害剤」。現在の標準的な治療薬である「リン吸着薬」とは異なる、新規作用機序を有している。
同剤は、高リン血症に対して特徴的な作用機序であるNHE3阻害を通じて、食事によるナトリウムの吸収を抑え、結果として細胞内のプロトン濃度を上昇させる。このプロトン濃度の上昇により、消化管のリン吸収を制御する細胞間接着が強固になり、リンの取り込みが抑制される。Ardelyxがこれまでに実施した非臨床もしくは臨床試験において、ナトリウム以外の他のイオンに対して同様の現象は認められておらず、同剤の作用機序はリンに選択的であると考えられている。
リン吸着薬からtenapanorへ切り替えた際の有効性と安全性を評価
今回開始された試験は、血液透析施行中の高リン血症の患者を対象に、日本で実施される多施設共同非盲検単群の第2相臨床試験。この試験では、リン吸着薬からtenapanorへ切り替えた際の有効性および安全性を評価する。目標被験者数は60名、試験終了予定時期は2019年11月。同試験のほか、今後2つの第2相臨床試験(血液透析施行中の高リン血症を対象としたtenapanorの単剤用量反応試験およびリン吸着薬との併用試験)も実施する予定だという。
協和発酵キリンは2017年11月28日に、Ardelyxとの間で、同剤の日本における高リン血症を含む心腎疾患領域を対象とした独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を締結。なお、同剤については、現在米国にて透析施行中の末期腎不全に伴う高リン血症を対象とした第3相臨床試験がArdelyxにより実施されている。
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・協和発酵キリン株式会社 ニュースリリース