2つの異なる第VIII因子トラフ値をターゲットに
武田薬品工業株式会社は2月6日、チェコ共和国プラハで2月6日から9日に開催されている第12回欧州血友病学会(EAHAD)年次総会において、「アディノベイト(R)静注用」(一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え))の臨床第3b/4相臨床試験であるPROPEL試験の結果を報告すると発表した。
アディノベイトは、米国食品医薬品局(FDA)が初めて承認。その後、日本、カナダ、およびコロンビアで承認されている。また、欧州連合(EU)加盟28か国とアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェイおよびスイスでも「ADYNOVI(R)」として承認を受けている。
PROPEL試験は、重症血友病A患者を対象に、2つの異なる第VIII因子トラフ値をターゲットとして、薬物動態(PK)に基づく定期補充療法後に、アディノベイトの安全性および有効性を比較する前向き無作為化多施設共同試験である。
患者のPKに基づいた定期補充療法でトラフ値8~12%を維持
同試験の結果、トラフ値8~12%をターゲットとしたアディノベイト定期補充療法群(高トラフ群)は、トラフ値1~3%をターゲットとしたアディノベイト定期補充療法群(低トラフ群)と比較して、年間出血回数(ABR)ゼロを達成した患者の割合が多くなることが示された(高トラフ群66%、低トラフ群39%、p=0.075)。さらに、高トラフ群では、より低いABR、さらに年間関節出血回数(AJBR)ゼロを達成した患者の割合(高トラフ群90%、低トラフ群68%)や年間自然出血回数ゼロの患者の割合(高トラフ群84%、低トラフ群61%)が、より高くなることが示されたという。
この試験結果は、患者個々のPKに基づいたアディノベイト定期補充療法により、トラフ値8~12%を維持することが実現可能であることを示しており、血友病Aにおける個別化治療についてさらに検討すべきであることが示唆された。なお、安全性に関してはアディノベイトの臨床試験結果と同等だったという。アディノベイトの第VIII因子濃度と出血イベントの関連性については、さらに解析を進めていくとしている。
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