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骨髄線維症の病状をビタミンDとマクロファージが進展させることを発見-神戸大

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2019年02月07日 PM12:30

高齢化に伴って新規患者数が増加している骨髄線維症

神戸大学は2月5日、骨髄線維症において、ビタミンDの過剰なシグナルとマクロファージが病態を進展させることを発見したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科血液内科学の若橋香奈子医学研究員と片山義雄講師らの研究グループによるもの。研究成果は、米国科学雑誌「Blood」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

骨髄線維症は、骨髄で線維芽細胞というコラーゲン線維を作る細胞が異常に増加し、骨髄が線維で占拠されてしまうことで、骨髄が正常に血液細胞を造り出せなくなる疾患。また、骨が増える骨硬化という変化も見られる。さらに同疾患は、造血幹細胞の遺伝子異常(JAK2V617F変異など)により、血液細胞が10年以上の長い期間をかけて異常に増加する骨髄増殖性腫瘍という病気の経過に伴い、徐々に進展することも知られている。

近年、高齢化に伴い同症の新規患者数が増加しており、世界中で研究が行われているが、線維化の主要因については「巨核球が骨髄で増加し線維芽細胞を刺激するため」という40年前の説明からほぼ進展がなく、なぜ骨髄増殖性腫瘍において線維だけでなく骨も異常に多くつくられるのかも明らかにされていなかった。また、治療では骨髄増殖性腫瘍の原因遺伝子を標的としたJAK阻害剤が使用されているが、必ずしも十分な効果は得られていない。唯一の根治療法である造血幹細胞移植も、高齢患者が多いため、適応になる例は限られている。

研究グループはこれまでに、カルシウムの代謝を調節するホルモンであるビタミンDの受容体が、骨髄造血微小環境と呼ばれる骨髄での造血幹細胞の居場所を制御していることを明らかにしていた。

ビタミンD刺激で成長する病的マクロファージの働きが重要

研究グループは今回、ビタミンD受容体を欠損させたマウスに骨髄移植をすることで、骨髄線維症に進展するモデルを構築することに成功。この骨髄線維症モデルの解析により、造血幹細胞が強いビタミンD刺激を受けることでマクロファージに成長し、この病的マクロファージが若い骨芽細胞(骨を作る細胞)を刺激することで、骨髄線維症および骨硬化が誘発されることを発見した。さらに、このマウスをビタミンDの入っていない餌で飼育したり、マクロファージを抑制したりすると、骨髄線維症の発症をほぼ完全に予防できることがわかったという。

実際の骨髄線維症患者が持つ遺伝子異常であるJAK2V617F変異を持つマウスでも検討を行ったが、ビタミンDの供給遮断(ビタミンDの入っていない餌での飼育)やビタミンD受容体シグナルの遮断(血液細胞でのビタミンD受容体の遺伝子欠損)、またマクロファージを抑制することによって、骨髄の線維化を非常に効果的に予防できることが判明した。

これらの結果から、骨髄線維症の進展にはこれまで報告されている巨核球による刺激とは別に、ビタミンD刺激により成長する病的マクロファージが重要な働きを担っていることがわかった。研究グループは「本研究により、ビタミンD経路やマクロファージをターゲットとした、高齢者にも対応可能な新たな治療法の開発が期待される」と、述べている。

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