医薬品医療機器総合機構(PMDA)は1日、新薬の承認後に製薬企業が副作用発現状況などを記載して提出する「安全性定期報告」1冊を紛失したことを明らかにした。報告には担当者の氏名と役職名が記されていた。PMDAは、今回の事案発生を製薬企業側に謝罪し、内部で捜索したものの、4日現在も発見されていない。今後も捜索と紛失の原因調査を続け、文書管理全般の方策見直しと強化に取り組むとしている。
安全性定期報告は、新薬の承認を受けた製薬企業が使用成績調査の結果や副作用の種類別発現状況などをPMDAに定期的に報告するもの。審査業務部が受け付け、報告内容は医薬品の再審査に活用される。その後、再審査結果として内容が公表される。
今回の事案は、2017年12月に受け付けた品目の報告について、昨年12月27日に審査業務部が配布先である新薬審査第4部に所在を確認した結果、今年1月7日に紛失が判明。製薬企業の担当者数名の氏名と役職名が記載されているが、それ以外の個人情報は含まれていない。
PMDAは、1月16日に警察に遺失物届を提出後、18日に製薬企業に謝罪と経緯の説明を実施。内部で捜索したものの、4日現在も発見されていない。他の定期報告については全ての所在を確認している。定期報告は、職員専用IDカードがなければ入室できない執務室内の保管場所に保管し、保管場所の机で内容確認するルールだが、紛失原因については「調査中」としている。
今回の事案発生を受け、PMDAは「多大な心配と迷惑をかけたことを深くお詫び申し上げる」と謝罪。今後も定期報告の探索を継続することを表明した。再発防止策として、今年度中をメドに文書決裁、管理、保存と廃棄など文書管理全般のあり方に関する方針を見直し、対応を強化する。
PMDAによる資料管理をめぐっては、17年4月に新薬の承認申請に関する製薬企業からの申請データを記録したUSBメモリを紛失。昨年4月にも医療機器の承認申請書と添付書類を紛失するなど、不適切な事案が相次いでいる。