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脳波からてんかん発作を自動検出する人工知能を開発-東大ら

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2019年02月04日 AM11:45

時間を要する脳波検査診断の負担軽減に

東京大学は2月1日、脳波からてんかん発作を自動検出できる人工知能の開発に成功したと発表した。この研究は、同大先端科学技術研究センターの高橋宏知准教授、自治医科大学脳神経外科の川合謙介教授、情報通信研究機構脳情報通信融合研究センターの篠崎隆志研究員らの研究グループによるもの。研究成果は「NeuroImage:Clinical」に掲載されている。


画像はリリースより

脳の一部が異常で過剰な活動を起こすと、突然痙攣を生じたり、意識を失ったりする「」を起こす。てんかんの診断には、脳波検査が欠かせないが、これらの診断は、てんかん専門医の専門知識と経験に加え、膨大な検査データの精査に長時間を要する。これらの負担軽減のためにも、脳波からてんかん発作を自動検出できる手法が強く求められている。

てんかん発作の検出率、市販ソフトウエアを大きく上回る

研究グループは、てんかん専門医が脳波を精査するときに、脳波を時系列データとして数理的に解析するのではなく、脳波計の画像の特徴から「視覚的に」判断していると推察。脳波データを脳波計の画面に出力されるような画像に変換し、これらの画像を人工知能に学習させることを試みた。

研究では、ビデオ脳波モニタリング検査を実施した24名から得た合計1124.3時間の脳波データを解析。これらの検査データから作成した脳波画像を深層畳み込みニューラルネットワークに学習させ、与えられた脳波画像にてんかん発作が含まれるか含まれないかを識別させた。その結果、市販のソフトウエアにおける既存手法を大きく上回り、てんかん発作を高い精度で検出できるようになったという。さらに1秒ごとに脳波を画像化したところ、てんかん発作の検出精度は、同手法では74%で、市販ソフトウエア(20%と31%)を大きく上回った。また、10秒単位でてんかん発作の検出を試みたところ、同手法の検出精度の中央値は 100%(24名中20名で100%)で、こちらも市販ソフトウエア(73.3%と81.7%)を上回った。誤検出率についても、0.2回/時間(5時間に1回程度)と、実用上で問題ないほど低く抑えられていたという。

今後さまざまな脳波データを集積することで、専門的な知識と経験を備えた専門医に近いてんかん検出能力をもつ人工知能開発の可能性が期待される。研究グループは、「将来的には、脳波判読の初学者用の教材としての利用も考えられる。てんかん専門医が不足する地域でも、本手法により脳波診断を提供できるようになると期待される」と、述べている。

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