日本医療機能評価機構は1月31日、2018年1~6月までの薬局ヒヤリ・ハット事例をまとめた報告書を公表した。18年度診療報酬改定で新設された「地域支援体制加算」で薬局の医療安全の取り組みが施設基準の一つになったことを受け、参加薬局数は前年同期の8971軒から2万4206軒に急増。報告件数も2万0584件と前年同期の2627件から大幅に増加し、特に疑義照会関連が47.8%と5割に迫った。参加薬局数の急増を背景に、薬剤師が水際で事故を防いでいる事例が一層増えているようだ。
昨年上半期に報告されたヒヤリ・ハット事例は、調剤関連が1万0653件(51.8%)と前年同期の1728件(65.8%)よりも件数は約6倍も増えたものの、割合は約14%減少。一方で、疑義照会関連が9831件(47.8%)と4割を突破し、前年同期の886件(33.7%)から1割以上増えて約5割に迫る勢いとなった。
疑義があると判断した理由については、「処方箋と薬局で管理している情報で判断」が5175件(52.6%)と最も多く、仮に変更前の処方通りに服用した場合の影響については、患者に健康被害があったと推測される事例が6811件(69.3%)と、約7割に上った。
疑義照会の結果、薬剤変更になった事例が2991件(30.4%)、薬剤削除になった事例が2910件(29.6%)と半数以上の事例で処方された医薬品が削除、変更されている。また、分量変更になった事例も1732件(17.6%)あり、その他、用法変更になった事例が881件(9.0%)、用量変更になった事例が788件(8.0%)となった。
一方、調剤関連のヒヤリ・ハット事例の内訳を見ると、「薬剤取り違え」が2541件で最も多く、次いで「数量間違い」が2475件、「規格・剤形間違い」が2314件で続いた。