インライタとの併用療法による第3相試験の結果に基づき
メルクセローノ株式会社は1月30日、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんの治療薬として、ファイザー株式会社と共同開発中の抗PD-L1抗体「バベンチオ(R)」(一般名:アベルマブ(遺伝子組換え))の製造販売承認事項一部変更承認申請を厚生労働省に行ったと発表した。
今回の申請は、免疫チェックポイント阻害剤アベルマブとチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)「インライタ(R)」(一般名:アキシチニブ)の併用療法による、未治療の進行腎細胞がんを対象とした第3相試験「JAVELIN Renal 101」の結果に基づくもの。同試験では、未治療の切除不能または転移を有する腎細胞がんの患者886例(日本人67例を含む)を対象として、アベルマブとアキシチニブの併用投与と「スーテント(R)」(一般名:スニチニブリンゴ酸塩)単剤投与の有効性と安全性を比較評価した。主要評価項目はPD-L1陽性患者集団(発現率1%以上)における無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)で、重要な副次評価項目としてPD-L1の発現を問わない全患者集団のPFSおよびOSを評価した。
根治切除不能なメルケル細胞がんの適応ですでに販売中
その中間解析の結果、PD-L1陽性患者集団だけでなく、PD-L1の発現を問わない全患者集団においても、統計学的に有意なPFSの延長が示された。PD-L1の発現を問わない全患者集団において、アベルマブとアキシチニブの併用投与群とスーテント群のPFS中央値は、それぞれ13.8か月vs.8.4か月(ハザード比:0.69;片側検定p値=0.0001)だった。OSは、中間解析の時点でアベルマブとアキシチニブの併用投与群で良好な傾向がみられたが、イベントが十分に集積されておらず、現在、評価継続中だという。同試験では安全性が懸念される新たな知見は認められず、アベルマブ、アキシチニブ、スーテントの有害事象は、いずれも従来の安全性プロファイルと一貫していた。
アベルマブは、日本において2017年9月に根治切除不能なメルケル細胞がんの効能・効果で製造販売承認を取得し、同年11月から販売中。進行腎細胞がんは、承認された治療薬はあるものの、その予後は依然として不良であり、遠隔転移した腎細胞がんの5年生存率は約12%にどとまる。
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