中央社会保険医療協議会は1月30日、都内で公聴会を開き、今年10月の消費税率10%への引き上げに伴う2019年度診療報酬改定に対する意見を医療関係者、保険者、患者などから聞いた。薬剤師を代表として、保険薬局の立場から意見を述べた山田純一氏(八王子市、東京都薬剤師会常務理事)は、薬局間で補填状況のバラツキがあることを指摘。特に調剤報酬における財源を加算に上乗せする対応について、小児領域の処方箋応需が多い薬局など「加算の算定状況は様々で、公平な補填は難しい」としつつ、「加算で対応する場合は薬局間で補填の格差が生まれない方策を検討していただきたい」と要望した。また、薬価改定に関しては一次取引での便乗値上げに懸念を示し、適正な流通の確保を求めた。
山田氏は、昨年11月に公表された配点方法見直しのシミュレーションで保険薬局の補填率が97.7%となったことに言及。「施設種別の中では(保険薬局の補填率が)最も低く、非常に不安が残る」と懸念を示し、今後検討が予定されている補填状況の検証について「速やかな調査、検討を行っていただき、補填不足が確認されるようであれば是正を行ってほしい」と訴えた。
調剤報酬の消費税対応については「薬局間で補填状況のバラツキがある」と指摘。原則として調剤基本料に財源を配分する一方、一定設備が必要な調剤に関する加算に上乗せする対応も行われることについて「加算の算定状況は薬局ごとに様々で、全ての薬局で公平な補填をするのは非常に難しい」としつつ、「消費税の引き上げによって、個々の薬局での補填不足の影響は大きくなる。加算で対応を図る場合は、薬局間で補填の格差が生まれないような方策を検討していただきたい」と要望した。
薬価改定については、市場実勢価格による引き下げと消費税対応が同時に行われるが、山田氏は「市場実勢価格による引き下げの影響で、消費税分の引き上げを含めても薬価が下がる薬剤が多くあるのではないか」と予想。小規模薬局から在庫価値の大幅な下落、逆ざやの発生に懸念や不安の声が出ていることを紹介し、「10月の消費税改定後、わずか半年で2020年度改定を迎えることになり、薬局の経営、薬剤購入の価格交渉にも大きな負担になることがある。ぜひ負担が少なくなるような方策を検討していただきたい」と求めた。
さらに、消費税対応の薬価改定に伴う一次取引などにおける便乗値上げの発生をけん制。「便乗値上げなどが起こると価格交渉が長引き、薬局経営の負担になることもある」とし、適正な流通の確保を訴えた。