厚生労働省の高齢者医薬品適正使用検討会は25日、高齢者の医薬品適正使用指針について、外来や入院医療などの療養環境別に医師・薬剤師等の医療関係者が考慮すべき「各論編(療養環境別)」案を概ね了承した。回復期・慢性期病棟に入院する場合には、急性期の処方内容や治療の中心となる薬剤などの情報を入院前の薬剤師等と共有することなどを盛り込んだ。指針の各論編は、5月をメドに通知として都道府県に発出する予定。
各論編は、総論編と同様に医師や薬剤師などを対象としており、▽外来・在宅医療・特別養護老人ホーム等の常勤の医師が配置されていない施設▽急性期後の回復期・慢性期の入院医療▽その他の療養環境(常勤の医師が配置されている介護施設等)――で構成。
外来医療、在宅医療、特別養護老人ホームなど、常勤医師が配置されていない施設では、地域の診療所が家族や介護スタッフから情報を得て、服薬アドヒアランス低下や服薬困難な状況かどうかを確認。定期的に治療方針や処方見直しを検討することとした。
長期の通院中、療養中の患者については、他院から処方されている薬剤が変更された場合に服薬状況が変化することなどから、療養環境の変化を問わず全ての使用薬剤を把握し、必要に応じて処方内容を見直すことを求めている。
急性期後の回復期・慢性期の入院医療については、患者が回復期・慢性期病棟に入院する場合、専門医から病状や治療方針、急性期における処方内容や治療の中心となる薬剤などの情報を、入院前の医師・薬剤師と共有すべきとした。退院時には、入院中に薬剤の変更、中止が行われた理由や処方変更後の状態などの情報を地域のかかりつけ医や薬剤師に十分に提供することとした。
また、認知症治療薬や骨粗鬆症治療薬など、高齢者に頻繁に処方される薬剤に関する基本的な留意点、各療養環境における処方見直しの具体的事例も別添として記載している。
厚労省は、指針の各論編について早ければ今年度中にパブリックコメントを募集し、同検討会の最終確認を経て、5月をメドに都道府県に通知として発出する見通しだ。