公正取引委員会は22日、日本ケミファとコーアイセイに対し、高リン血症治療剤「炭酸ランタンOD錠250mg、同500mg」の販売に関する独占禁止法違反の疑いで、立ち入り検査を行った。両社は同製品を発売する前に、医薬品卸に販売する仕切価格を割高に設定し、利幅を大きくできるよう、カルテルを結んだ疑いが持たれている。
炭酸ランタンOD錠は、バイエル薬品が製造販売する「ホスレノール(先発品名)」の後発品。昨年2月に日本ケミファとコーアイセイを含む5社が後発品として承認を取得したが、日本ケミファ、コーアイセイの2社の製品だけが6月に薬価収載された。
日本ケミファは、売上の90%超を後発品で占め、コーアイセイは山形を地盤とする後発品専業メーカー。
後発品市場は、先発品の特許が切れると、先発品と同一成分の薬剤を販売する後発品メーカーが参入するため、薬価よりも安い価格で医療機関に販売する価格競争を引き起こし、その後の薬価改定で市場実勢価格まで引き下げられる環境にある。
今回、両社が発売前に医薬品卸に納入する仕切価を高く設定する取り決めを行った疑いが浮上し、公正取引委員会による立ち入り検査に至った。
日本ケミファは、炭酸ランタンOD錠の発売の準備を進めていたが、昨年11月に安定供給に対する製造上の問題から発売を取りやめることを決定し、4月に薬価基準から削除すると発表。一方、コーアイセイは昨年9月から販売を行っている。
今回の立ち入り検査を受け、日本ケミファは「事実を厳粛かつ真摯に受け止め、公正取引委員会の検査に全面的に協力する」、コーアイセイの親会社であるコーア商事ホールディングスは、「違反の事実はないものと認識しているが、コーアイセイと共に検査に全面的に協力していく」との声明を発表した。