医療法上に位置づけられる臨床研究中核病院は人材難に苦慮している――。そんな厳しい現状が23日の厚生科学審議会臨床研究部会に報告された。臨床研究中核病院12施設で作る協議会を代表し、大阪大学病院の木村正院長がアンケート調査で浮上した課題を紹介。これら課題を克服するため、新たな専門職俸給を導入しやすい環境整備や臨床研究資金の公的補助の枠組み確保などを提言した。
臨床研究中核病院協議会のアンケート調査からは、▽臨床研究の支援者、支援業務を指導する人材難▽支援人材の短期離職率の高さ▽中核病院と連携する研究者側、依頼施設側の課題▽中核病院のタスクが要件に明確化されていない――などの課題が浮上。待遇の悪さなどにより臨床研究の支援人材は枯渇し、指導する人材も少なく、支援人材の短期離職率が高いためにキャリアパスが生かせていない現状が明らかになった。
また、医師の臨床研究リテラシー不足が指摘されたほか、中核病院による他施設支援も足かせになっており、中核病院の要件が中核病院に現在求められるタスクに基づいていないと指摘。国に対して、「中核病院に何をどれだけやることを求めているのかが見えない」と注文を付けた。
その上で、人材難の解決に向け、職種横断的に標準化された業務評価チャートの作成や医療職、事務職以外の専門職俸給を導入しやすい環境整備、臨床研究中核病院の要件に求められるタスクの要素を追加すること、特定分野や業務に優れた機能を有する医療機関でも中核病院に準じた役割を果たせるようにすることなどを提言。国に対して、中核病院の人材育成や長期計画の参考となるよう国内の拠点数を含めた適正規模感を示すよう求めた。
さらに、医師主導治験、評価療養、ベンチャー支援、他施設支援など採算が低いにもかかわらず社会的に必要性の高い研究の支援費用を負担する公的補助の枠組み確保を要望したほか、臨床研究法上の特定臨床研究のみならず、既承認薬の適応拡大、エビデンスの創出など一定品質を満たす臨床研究は社会的意義が大きいとして、評価療養に準じたトラックでの実施を認めることを提案した。