化学療法との比較で、死亡リスクを31%低減
米Merck社は1月14日、進行・転移性食道がんまたは食道胃接合部がんの二次治療における単独療法として抗PD-1抗体「KEYTRUDA(R)」を評価する第3相試験KEYNOTE-181の結果を初めて報告した。これらの結果は他の解析結果とともに、サンフランシスコで開催された2019ASCO GI(米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム)で発表されている。
このピボタル試験では、標準治療後に進行したPD-L1陽性(Combined Positive Score [CPS]が10以上)の扁平上皮がんおよび腺がんを含む食道がんの患者において、KEYTRUDAによる治療で化学療法(パクリタキセル、ドセタキセル、またはイリノテカン)と比較して死亡リスクを31%低減し、主要評価項目の全生存期間(OS)が統計学的に有意に延長した(HR=0.69 [95% CI, 0.52-0.93]、p=0.0074)。
扁平上皮がん患者およびITT解析集団全体においても、主要評価項目のOSが評価され良好な傾向は見られたが、統計学的に有意な延長は認められなかった。
試験のデータはFDAらに審査用として提出する予定
KEYNOTE-181試験は、標準療法による初回治療後に進行した進行・転移性の食道がん(腺がんおよび扁平上皮がん)、またはSiewert分類type1の食道胃接合部腺がん患者628名以上を対象として、KEYTRUDA単独療法と化学療法を比較する無作為化非盲検第3相試験(ClinicalTrials.gov、NCT02564263)。
患者628名のうち401名が扁平上皮がん、222名がCPS10以上のPD-L1陽性腫瘍で、KEYTRUDA(200 mgの固定用量を3週間ごと)を投与する群、または治験担当医師の選択する化学療法(ドセタキセル(75mg/m2を21日サイクルの1日目)、パクリタキセル(80-100mg/m2を28日サイクルの1日目、8日目、15日目)、イリノテカン(80 mg/m2を14日サイクルの1日目))を投与する群(いずれも静注)に1:1の割合で割り付けられた。主要評価項目はOS(全患者、PD-L1陽性(CPS≧10)の患者、扁平上皮がん患者で評価)。副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)、安全性/忍容性。
PD-L1陽性(CPS≧10)患者(222/628名)のうち、OSの中央値は、KEYTRUDA®群で9.3カ月(95% CI, 6.6-12.5)、化学療法群で6.7カ月(95% CI, 5.1-8.2)。さらに、これらの患者における12カ月時点における推定OS率は、KEYTRUDA群で43%、化学療法群で20%だった。
KEYNOTE-181試験におけるKEYTRUDAの安全性プロファイルは、これまでの試験で報告されたものと一貫していた。薬剤関連有害事象(TRAE)は、KEYTRUDA群の64.3%、化学療法群の86.1%で見られた。また、KEYTRUDA群で最も一般的に(5%以上)見られたTRAEは、疲労感(11.8%)、甲状腺機能低下症(10.5%)、食欲減退(8.6%)、無力症(7.0%)、嘔気(7.0%)、下痢(5.4%)だった。グレード3~5のTRAEは、KEYTRUDA群の57名(18.2%)、化学療法群の121名(40.9%)に発生。薬剤関連の死亡例は、各群ともに5名だった。
抗PD-1抗体が、標準治療後に進行したPD-L1陽性の扁平上皮がんおよび腺がんを含む食道がんの患者に対して生存期間のベネフィットを示したのは、今回が初めて。なお、同試験のデータは、米国食品医薬品局(FDA)および他の規制当局に審査用として提出する予定。
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