実務実習の受け入れにおいても地域偏在が生じている――。19日に奈良市で開かれた日本病院薬剤師会近畿ブロック会議でそんな問題提起があった。薬剤師を募集しても応募がないなど、特に地方では薬剤師の確保に苦労する病院が少なくない中、実務実習の受け入れでも地方の病院に薬学生が割り当てられない状況が散見されるという。日病薬の木平健治会長は、新薬剤師養成問題懇談会(新6者懇)の場で薬系大学などに対して「地域医療教育を充実させて、ふるさと実習を活性化するようお願いしている」と言及。グループ実習の推進も課題として示した。
同ブロック卒前教育委員会委員長の室井延之氏(神戸市立神戸アイセンター病院薬剤部)は「近畿地区では、薬学生数に対して実習受入施設が不足する一方、地方においては受入可能施設があるにも関かかわらず、実習生が割り当てられない現状になっている」と報告。「実務実習は、薬学生に対して地域医療における薬剤師職能の魅力を伝える重要な場の一つだが、都市部の急性期病院に実習生が集中し、地方の回復期、慢性期病院などでは実習生が充足されていない」と問題を提起した。