同ブロック卒前教育委員会委員長の室井延之氏(神戸市立神戸アイセンター病院薬剤部)は「近畿地区では、薬学生数に対して実習受入施設が不足する一方、地方においては受入可能施設があるにも関かかわらず、実習生が割り当てられない現状になっている」と報告。「実務実習は、薬学生に対して地域医療における薬剤師職能の魅力を伝える重要な場の一つだが、都市部の急性期病院に実習生が集中し、地方の回復期、慢性期病院などでは実習生が充足されていない」と問題を提起した。
これを受けて木平会長は「中四国地区などでも『実務実習を受けるために認定資格を取り、受入施設として手を上げたが、実習生が来てくれない』という不満はたくさん聞いている。薬剤師自体の地域偏在の解消にも関わる大きな問題だと思っている」との認識を提示。
その解決に向けて「新6者懇において、薬学部における地域医療教育の充実を提案している。医学部では地域医療教育が行われている。薬学部でもそれをしっかり取り入れ、ふるさと実習の活性化につながるような教育体系を構築してほしいとお願いしている」と語った。
また、患者層が異なる複数の病院で実務実習を受け、医療の全体像を幅広く学ぶことができるグループ実習の推進も課題と言及。「地域偏在だけでなく、回復期や慢性期の病院で実習生が充足されていないことも大きな問題。こうした施設での実習で薬剤師の魅力を示すことができれば、薬学生の意識も変化して就職先の選択肢になり、薬剤師の地域偏在や施設偏在の状況も変わると思う」と話した。
各病院に対しては「グループ実習によって、こうすれば教育効果が高まるという事例を示してほしい。それがあればグループ実習の推進を具体的に提案できる」「大学から実習先として選ばれるような、魅力ある施設として自施設をアピールしていただきたい」などと求めた。
このほか同ブロック会議では、同一法人の病院間、同一地域の病院間、同一地域内の病院や薬局間などでの医療用麻薬の柔軟な移譲を可能とする法規制の整備を求める声が上がった。医療用麻薬の品目数が増加し、期限切れや長期不使用などで廃棄される麻薬が増加している。柔軟な移譲を可能にすることで、経済的な損失や廃棄業務の負担を抑えられるという。