「エヌトレクチニブ」のコンパニオン診断を追加
中外製薬株式会社は1月18日、発売準備中の遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne(R) CDx がんゲノムプロファイル」について、NTRK融合遺伝子陽性固形がんに対して承認申請中である「エヌトレクチニブ」のコンパニオン診断機能追加に関する一部変更承認申請を、厚生労働省に行ったと発表した。
同プログラムは、次世代シークエンサーを用いた網羅的がん関連遺伝子解析システム。患者の固形がん組織から得られたDNAを用いて、324の遺伝子における置換、挿入、欠失、コピー数異常および融合遺伝子などの変異検出、ならびにマイクロサテライト不安定性(Microsatellite Instability:MSI)や腫瘍の遺伝子変異量(Tumor Mutational Burden:TMB)などのゲノム・バイオマーカーを検出する。がん関連遺伝子の包括的なゲノムプロファイリング、および抗悪性腫瘍剤(国内既承認の分子標的治療薬)のコンパニオン診断としての、2つの機能を併せ持った国内で初めてのがん遺伝子パネル検査として、2018年12月に厚生労働省より薬事承認を得た。
NTRK融合遺伝子の検出により、エヌトレクチニブの適応判定を補助
今回の申請は、同プログラムによりNTRK融合遺伝子(NTRK1、NTRK2、NTRK3遺伝子と他の遺伝子の融合遺伝子)を検出することにより、エヌトレクチニブの適応判定の補助を可能にすることを目的として行った。
エヌトレクチニブは、ROS1融合遺伝子陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がん、またはNTRK1/2/3融合遺伝子陽性の局所進行または転移性固形がんを対象とした臨床開発中の薬剤。ROS1(c-rosがん遺伝子1)およびTRK(神経栄養因子受容体)ファミリーを強力かつ選択的に阻害する経口投与可能なチロシンキナーゼ阻害剤であり、脳転移巣への作用も期待されている。同剤は、ROS1およびTRKキナーゼ活性を阻害することにより、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制。現在、乳がん、胆管がん、結腸直腸がん、婦人科がん、神経内分泌腫瘍、非小細胞肺がん、唾液腺がん、膵がん、肉腫、および甲状腺がんを含む広範囲の固形がんを対象に臨床試験が行われている。
また同剤は、先駆け審査指定制度対象品目、希少疾病用医薬品の指定を受けており、非常に稀な遺伝子変異であるNTRK融合遺伝子陽性の固形がんを予定適応症として、中外製薬が2018年12月に承認申請を実施した。中外製薬は、網羅的ゲノムプロファイリングの普及を通じ、がん領域におけるより高度な個別化医療を実現し、患者および医療従事者に貢献できるよう取り組んでいきたいとしている。
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・中外製薬株式会社 ニュースリリース