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宿泊型健康指導プログラムの有効性を科学的に実証-京大

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2019年01月17日 PM12:45

特定保健指導の「積極的支援」「動機付け支援」該当者を対象に

京都大学は1月15日、サンスター財団からの受託研究として、サンスターグループ社員向け健康増進施設で提供された宿泊型健康指導プログラムの有効性を明らかにしたと発表した。この研究は、同大環境安全保健機構健康科学センターの川村孝教授、松崎慶一助教らの研究グループによるもの。成果は「Preventive Medicine Reports Volume 13, March 2019」に掲載されている。


画像はリリースより

サンスターグループでは、1985年より社内福利厚生施設「サンスター心身健康道場」で、社員に宿泊型健康指導を開始。2007年からは定期健康診断で特定保健指導の「積極的支援」「動機付け支援」に該当した対象者に、独自の宿泊型健康指導プログラムを実施している。

今回の研究では、2007~2009年にサンスターグループに在籍し、定期健康診断の結果が特定保健指導の「積極的支援」か「動機付け支援」に該当した415名を抽出。心身健康道場における2泊3日の健康指導プログラムに参加した220名を参加者群、参加しなかった195名を非参加者群とし、プログラムの前と後(参加群)もしくはそれに相当する時期(非参加群)の定期健康診断データを解析し、対象者における宿泊型健康指導プログラムの有効性と、その持続期間を検証した(過去起点コホート研究)。

半数以上が3%以上の体重減少を達成

宿泊型健康指導プログラムは、行動科学の観点から、座学・体験学習を組み合わせて行い、気づき、体感し、自己で目標を設定するもの。傾向スコアマッチング法で、それぞれの群から抽出した背景因子が近似する各95名(計190名)について、当初の定期健康診断の結果および1、2、3年後の健康診断における測定項目の変化量を比較した。

その結果、プログラム受講翌年の健康診断では参加群は非参加群と比較し、体重(-2.7kg vs.-1.0kg、P<0.01)、腹囲(-3.5cm vs.-1.5cm、P<0.01)で有意な改善が認められた。また、動脈硬化の総合的なリスク指標であるnon-HDLコレステロール(-8.8mg/dlvs.-1.8mg/dl、P=0.05)の改善も認められた。受講2年後の健康診断においても、体重(-2.8kg vs.-1.7kg、P=0.07)および腹囲(-3.8cm vs.-2.3cm、P=0.03)に対する効果が維持されていた。日本肥満学会が推奨する減量目標である3%以上の体重減少の達成者の割合は、参加者群では受講翌年において50%以上となり、非参加者群と比較して高い達成割合となった。

心身健康道場の健康指導プログラムは、座学と体験学習を組み合わせて自らの健康に関する気づきや体感を促すことで行動変容のステージを進めることと、また、同じ境遇の参加者が2泊3日の各種プログラムを一緒に受講し、互いに健康における目標を宣言することでグループダイナミクスを生むことの2点を特徴としている。研究グループは、これらが相互に作用し合うことでプログラム参加者における健康的な生活習慣の定着に繋がったと考察。「今後は、前向きコホート研究を展開し、どのような参加者に効果があるのか、行動変容をもたらす因子は何か、などに関する検証を行っていく。また、対象者への宿泊型健康指導プログラムの有効性をさらに高めるため、効果が減弱する3年後を目処に社員への適切な追加講習ができるよう取り組む。なお、同プログラムをもとに、社員以外も利用できる体制を整備していく」と、述べている。

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