医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > trastuzumab deruxtecan、HER2低発現乳がん対象のP3試験で最初の患者への投与開始-第一三共

trastuzumab deruxtecan、HER2低発現乳がん対象のP3試験で最初の患者への投与開始-第一三共

読了時間:約 1分22秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年01月17日 PM12:00

現在承認されている抗HER2療法がないHER2低発現乳がん

第一三共株式会社は1月15日、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)であるtrastuzumab deruxtecan(トラスツズマブ デルクステカン、DS-8201)のHER2低発現乳がん患者を対象としたグローバル第3相臨床試験(DESTINY-Breast04)において、最初の患者への投与を開始したと発表した。

女性の主要ながん死亡原因となっている乳がんは、患者の約20%がHER2陽性だ。がんの進行や予後不良に関係するとされるHER2をターゲットにした治療法は複数開発されており、HER2陽性乳がん患者の生存率は改善している。一方で、低レベルのHER2が発現している(HER2低発現)患者は、患者全体の40%以上を占めているが、現在、HER2低発現の乳がん患者を対象に承認されている抗HER2療法はない。

HER2低発現患者は、現在の標準治療ではHER2陰性に分類されており、ホルモン受容体の状態により治療法が決定されている。ホルモン受容体陽性乳がんの場合、ホルモン療法とCDK4/6阻害剤の併用療法が推奨され、治療抵抗性となった場合は化学療法に移行する。また、ホルモン受容体陰性(トリプルネガティブ)乳がんの場合、最初から化学療法が行われ、いずれの場合も治療法が限られているため、多くのHER2低発現乳がん患者はやがて病勢進行となっている。

欧米とアジア諸国で最大540名の患者を登録予定

DESTINY-Breast04は、化学療法による前治療を受けたHER2低発現の再発・転移性乳がん患者を対象としたグローバル第3相臨床試験で、同剤投与群と治験医師選択薬投与(化学療法)群の安全性と有効性を比較評価する。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間、全奏効率、奏効期間など。安全性の評価項目は、重篤な有害事象、有害事象等。北米、西欧、日本を含むアジア等において最大540名の患者を登録する予定。

同試験は、乳がん患者を対象とした同剤で3つ目の第3相臨床試験。また、同剤については、胃がん、、非小細胞肺がんなどの臨床試験やがん免疫を含む他剤との併用療法試験も積極的に進められている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • ジョンソン・エンド・ジョンソン 肺がん領域に初参入
  • レポトレクチニブ「がん細胞が耐性を獲得しにくく、長期使用に期待」
  • 2025年1月より社長交代で新たな体制へ‐アレクシオンファーマ
  • ミリキズマブの炎症性腸疾患に対する長期持続的有効・安全性データを公開-リリー
  • 転移性尿路上皮がん、一次治療における新たな選択肢への期待