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福島第一原発事故後の小児における安定ヨウ素剤配布後の内服実態調査を実施-京大ら

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2019年01月15日 PM02:45

内部被曝予防のために、安定ヨウ素剤を内服

京都大学は1月10日、福島第一原発事故後の三春町(福島県田村郡)の小児における安定ヨウ素剤配布後の内服実態調査の研究成果を発表した。この研究は、同大大学院医学研究科の中山健夫教授、高橋由光准教授、西川佳孝博士課程学生らが、ひらた中央病院(福島県)、福島県立医科大学と共同で行ったもの。研究成果は、国際学術誌「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」のオンライン版に、2018年12月10日に掲載された。


画像はリリースより

安定ヨウ素剤の内服は、避難・ 屋内退避・ 放射能汚染した食物の摂取防止と並び、放射線災害後の放射性ヨウ素による内部被曝を避けるための重要な予防行動の1つ。内服について、WHOによるガイドラインは作成されている一方で、放射線災害という特殊性からその実態調査報告数は限られている。

福島第一原子力発電所事故後、推定される被ばく量が大きくなかったため、安定ヨウ素剤の配布は一律には実施されなかったが、4自治体(三春町・富岡町・双葉町・大熊町)が安定ヨウ素剤の配布と内服指示を実施していた。

0–2歳の小児では、3歳以上と比べて内服していない傾向に

研究グループは今回、誠励会ひらた中央病院で2017年に行なわれた、三春町の小中学生を対象とする甲状腺検診の結果を用いて観察研究を行った。また、甲状腺検診時に行われた安定ヨウ素剤に関するアンケート結果を用いて、2017年に小中学生である三春町の小児が、2011年当時に安定ヨウ素剤の内服を行ったか否かを調査。内服しなかった場合はその理由について検討を行った。

三春町の小中学生1,237人のうち、1,179人が検診を受診した。そのうち、当時三春町以外に居住していた213名、安定ヨウ素剤に関するアンケート回答不十分1名、当時胎児であった4名を除いた961人(当時0–9歳)が研究に参加。なお、国勢調査によると、(震災当時の2010年度、三春町において0–9歳だったのは1,322人だった。

安定ヨウ素剤は、その当時対象となった三春町の40歳未満の住民または妊婦のいる世帯(7,248人3,303世帯)のうち、94.9%の3,134世帯に配布された。今回の調査において、小児甲状腺検診受診者の中で安定ヨウ素剤を内服したのは63.5%(961人のうち610人)だった。統計学的に分析(マルチレベルロジスティック回帰分析)をした結果、0–2歳の小児では、3歳以上と比べて安定ヨウ素剤を内服していない傾向だった。また、保護者が内服している場合、子も内服している傾向だった。内服しなかった理由の中では、「安全性への不安」が最多(46.7%)だった。

放射線災害後の安定ヨウ素剤の内服の実態に関するエビデンスは少ないため、今回の研究成果は国際的に貴重なものと言える。今後の対応としては、十分な時間をもって、保護者と子供の両者に、配布方法、薬剤の効果・副作用、内服方法、タイミングについてしっかり説明しておくことが望ましいと研究グループは考察している。内服方法については、錠剤であれば、乳幼児にはすりつぶして飲料に混ぜる、などの方法があるが、現在は、ゼリータイプの安定ヨウ素剤も利用可能となっている。この研究の結果は、今後の放射線災害対策において役立つと考えられ、今後も長期的に健康影響の検討をおこなう必要がある、と研究グループは述べている。

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