国内初となる飲酒量低減薬
大塚製薬株式会社は1月8日、アルコール依存症患者における飲酒量を低減する治療薬「セリンクロ(R)錠10mg」(一般名:ナルメフェン塩酸塩水和物)の国内における製造販売承認を取得したことを発表した。
画像はリリースより
日本国内では、抗酒薬や断酒維持を目的とした断酒補助剤がすでに販売されているが、多量な飲酒を繰り返すアルコール依存症患者が飲酒量を減らしていく過程を補助する薬剤は存在しない。
セリンクロは、日本では同社とデンマークのH.ルンドベックA/S(ルンドベック社)が共同で開発を進めていた。欧州では、2013年からルンドベック社により飲酒量低減薬として承認・販売されている。
国内の臨床試験において、12週後の多量飲酒した日数(HDDs:1日のアルコール消費量が男性60g超、女性40g超の、1か月あたりの日数(日/月))のベースラインからの変化量および総飲酒量(TAC:1か月あたりの平均アルコール消費量(g/日))を、プラセボに対して有意に減少させ、飲酒量低減に対する有効性が確認された。また、1日の平均飲酒量に基づくリスクレベルも、プラセボと比較して改善がみられたという。主な副作用は悪心、浮動性めまい、傾眠、頭痛、嘔吐、不眠症、倦怠感だった。
オピオイド受容体調節作用を介して飲酒欲求を抑制
セリンクロは、飲酒の1~2時間前に服用することで、中枢神経系に広く存在するオピオイド受容体調節作用を介して飲酒欲求を抑え、アルコール依存症患者の飲酒量を低減する薬剤。効果・効能に関する使用上の注意として、服薬遵守の上、飲酒量の低減を目的とした心理社会的治療と併用することなどが定められている。
最新のアルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインでは、最終的な治療目標は原則的に断酒の達成とその継続としたうえで、「飲酒量低減治療は、断酒に導くための中間的ステップあるいは治療目標のひとつ」として位置づけられている。今回の承認で、同剤が飲酒量低減治療の新たな選択肢に加わったことになる。
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・大塚製薬株式会社 ニュースリリース