厚生労働省は、医薬品の適切な流通経路の管理を保証し、偽造薬の流入を防ぐため、卸売販売業者や製造販売業者などが取り組むべき原則を定めた「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」を公表した。卸売販売業者等の業務の画一化を進めることで、医薬品の品質や流通経路の管理を保証することが目的。出荷から薬局、医薬品販売業、医療機関に渡るまでの医薬品の仕入、保管、供給業務に適用される。
GDPガイドラインは、▽品質マネジメント▽苦情、返品、偽造の疑いのある医薬品および回収▽施設および機器▽文書化▽職員▽業務の実施▽外部委託業務▽自己点検▽輸送――の9項目で構成。
品質マネジメントについては、卸売販売業者に対して全ての流通業務の手順を明確に定義して系統的にレビューすること、品質システムに関する業務を文書化して有効性を監視することなどを求めている。
苦情・返品・偽造の疑いのある医薬品および回収では、偽造の疑いがある医薬品の販売・輸送を直ちに中断し、該当する医薬品が発見された場合は製造販売業者に通知し、検体を確保・送付することとした。流通経路で発見された偽造薬は物理的に隔離し、他の医薬品から離れた専用区域に保管。偽造薬に関連する全業務を文書化して記録を保管する。さらに、流通経路への混入原因を特定し、必要に応じて適切な再発防止策を実施することを求めた。
施設と機器については、卸売販売業者に対し、医薬品の貯蔵設備が他の区域から明確に区別されているなど、適切な保管・流通を保証できる施設を保有すべきとした。
文書化については、流通過程の関連業務が追跡できるようになることから、各作業を文書で記録して必要な時に利用可能な状態にしておくべきとした。
職員については、卸売販売業者がガイドラインを遵守するための責任者を任命し、品質マネジメントシステムが実施・維持されていることや、業務の管理・記録の正確さと記録の質を保証するなどの業務を行うこととした。
GDPガイドラインをめぐっては、医薬品の貯蔵や流通における品質保証のあり方を示した国際的な管理基準「PIC/S GDPガイドライン」の国内導入に向け、2016年度から厚生労働科学研究班で内容の検討を進めていた。