全身性強皮症・皮膚筋炎を対象に米コーバス社が開発中
科研製薬株式会社と米Corbus Pharmaceuticals Holdings社(コーバス社)は1月4日、コーバス社が全身性強皮症および皮膚筋炎を対象に開発中の「レナバサム」(一般名)について、日本における開発および事業化についての提携およびライセンスに関する契約を、2019年1月3日付けで締結したと発表した。
レナバサムは、新規の経口剤で、選択的に2型カンナビノイド受容体(Cannabinoid Receptor 2; CB2)に結合する低分子化合物。CB2は、免疫細胞、線維芽細胞、筋肉細胞および内皮系細胞に発現している。レナバサムは、CB2を介して炎症収束作用を有するメディエーターの産生を誘導することで、免疫抑制を起こさずに炎症を鎮め、正常状態へと導く。また、レナバサムは線維芽細胞に直接作用し、細胞外マトリックスの産生を抑制することで、組織の線維化を抑制する。さらに、モデル動物実験および臨床試験のデータから、レナバサムは炎症と線維化に関わる因子を減少させることが示唆されている。
既に実施済みの、全身性強皮症および皮膚筋炎を対象とした第2相試験では、レナバサムの有効性と安全性を示唆する結果が得られており、現在、薬事承認を得るために必要な第3相試験が実施されている。
日本における独占的な販売の権利を取得
レナバサムの対象疾患となる全身性強皮症は、皮膚および各種臓器の線維化を特徴とする原因不明の難病で、特定疾患に指定されている。典型的な症状を示し、全身に皮膚硬化が起こる「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と、皮膚硬化の範囲が手指に限局する「限局皮膚硬化型全身性強皮症」に大別される。後者は比較的軽症型とされている。
また、皮膚筋炎は、筋肉の炎症により力が入りにくくなり、手指の関節背側の表面、肘関節や膝関節外側、上眼瞼などに特徴的な皮膚症状を呈する難病。こちらも特定疾患に指定されている。
今回の契約締結で、科研製薬は全身性強皮症および皮膚筋炎に対する治療剤としてのレナバサムの、日本における独占的な販売の権利を取得する。科研製薬はコーバス社に対して契約一時金を支払うとともに、開発および販売マイルストン、並びにロイヤルティを支払うとしている。
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・科研製薬株式会社 ニュースリリース