厚生労働省は昨年12月25日、高齢者の医薬品適正使用指針について、外来や入院医療など療養環境別に薬剤師等の医療関係者が考慮すべきことを記載した「追補」の案を、高齢者医薬品適正使用検討会の作業部会に示した。急性期後の回復期・慢性期の入院医療では、ポリファーマシーによる影響が疑われる場合、担当医が薬剤師等の他職種と協働し、認知機能の低下など退院後の生活に大きな影響を及ぼすと考えられる事項の評価と非薬物的対応を検討することなどを盛り込んだ。今月に開催予定の作業部会と検討会でも議論した上で、今年度中にまとめる方針だ。
追補案は、▽外来・在宅医療▽急性期後の回復期・慢性期の入院医療▽その他の療養環境(常勤の医師、歯科医師が配置されている介護施設等)――で構成。
外来・在宅医療は、外来や自宅、特別養護老人ホームなど常勤医師が配置されていない施設を対象としている。
在宅医療では、お薬手帳などで全ての処方薬剤を把握するほか、かかりつけ医が一般用医薬品の使用状況も把握することを求めている。また、家族や訪問看護師等から情報提供を受けて服薬アドヒアランスの低下や服薬困難を確認し、治療方針や治療薬見直しの検討も定期的に行うべきとした。処方見直しについては、患者・家族からの聞き取りと話し合いを十分に行った上で検討すべきとしている。
急性期後の回復期・慢性期の入院医療では、回復期の医療を担う地域包括ケア病棟や慢性期の医療を担う医療療養病棟などが対象。処方確定後も、薬剤師や看護師などの医療職が患者の状態を把握し、変化が認められた場合は入院担当の医師に連絡する。
ポリファーマシーによる影響が疑われる場合、担当医師は薬剤師などの他職種と共に、認知機能の低下や嚥下機能の有無など退院後の生活に大きな影響を及ぼすと考えられる事項について評価と非薬物的対応を検討する。
その他の療養環境では、介護老人保健施設など常勤医師が配置されている介護施設を対象としている。入所時に処方の確認・見直しの検討を必ず行い、在宅復帰・在宅療養を支援する場合は、服薬内容に関連した薬物有害事象の有無を積極的に確認すべきとした。さらに、薬剤の種類や服用回数など、患者や施設が管理しやすい処方へ見直すことを検討すべきとしている。